ガールズロックの草分けといわれる伝説的なバンド
80年代当時、東京の先端のロックシーンでは東京ロッカーズと言うムーブメントがあり、その中から立ち上がってきたバンドの中でも全員女性のガールズバンドという事で異色の存在感を放っていたのがZELDAでした。
80年代のガールズロックバンドと言うとPRINCESS PRINCESSやSHOW-YAなどが有名ですがビートロックを基調にし、派手な佇まいをしていたそれらのバンドと比較してZELDAはガールズバンドとしての華やかさを売りにしながらも、演奏的にはどこかヘタウマな面がありしかし、他に替えが利かない確固たる「世界観」を内包していました。
ほぼ黎明期のガールズバンドに当たる世代でありながら、90年代以降のシンガーソングライターやガールズバンドに通じる個性も内包している、ほんとに先鋭的なバンドであったと思います。
確かspitzの草野マサムネ氏がお薦め名盤でZELDAのアルバムを上げ、特にガールズバンドにありがちなセクシャルさを売りにしなかったのが魅力と言っていたのがZELDAを知る契機になりましたが
いまネットで見れる数少ない当時のライブの映像などを見ても、全身黒ずくめの格好で、時に直立不動でボーカルを取る高橋サヨコの存在感や(特に低音~高音まで音域が広く、それを巧みに使い分けているのも魅力です)
メンバーの出で立ちも時代に埋もれない「個性」を強烈に感じさせてくれます。ナチュラルな表現に次第に拘り、活動中期~後期にかけてはワールドミュージックやファンクなどに傾いていったようですが…ファンの間で語り草になるのは、やはり初期のニューウェーブ的な音楽性・世界観で少女文学的な世界を表現していた時代のものでしょう。
ニューウェーブとはいわばなんでもありで先鋭的な当時のシーンの空気全体を指してのものだと解釈していますがZELDAはそこに少女文学的な視点を取り込み、「暗黒」とも言われる世界を確立していきました。
ニューウェーブといわれるシーンの空気を体現した名盤を形に
当時、世界的にも東洋の未来都市として認識されつつあった東京YMOを始めとしたテクノポップやニューミュージックの台頭で、未来都市としての東京や70年代までとは明確に違う都会的な生活やテーマが持ち上がってくる一方、音楽や映像面では独自の解釈で東京を表現するものも多くありました。
ZELDAを代表し、80年代のニューウェーブを代表するともいわれる名盤「カルナヴァル」ではそんな当時の東京が少女文学的な目線で独自に彩られていきます。
埋立地、高速道路、東京タワー、それらの東京の風景が時にキュートに、時に不気味に少女文学フィルターを通して形にされているのです。このアルバムではムーンライダースの白井良明がプロデュースに加わりサウンドの統一感も見事になっています。
ジャンル的にもオーケストラ調やJAZZを意識したものが多く、実験音楽的な側面も強いのです。
そしてつづく3rdでは引き続き白井良明がプロデュースを続投。少女文学的で幻想的な雰囲気は引きづりながらもエッジの効いたビートロック風の楽曲からワールドミュージック調のアップテンポナンバーまで、より多彩な楽曲になりながらもやかましくないアレンジで非常に耳馴染みにいい名盤に仕上がっています。
前作までのイメージを持ち合わせる心象風景的な表現はそのままに、退廃・幻想・ワールドミュージック風など前作ではなかった持ち味も醸し出し、むき出しの感性をパッケージしたかのような作品に。
強烈な個性とともにやや前衛的によりすぎている前作から、よりサウンド的な間口や表現力の多様さを出しながらも、少女文学や暗黒ゼルダ的な個性の軸も貫かれているのが素晴らしいです。初期の個性もブレていない文句なしの名盤になっています。


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