オープンフィールドの概念とRPGの潮流を大きく変えた歴史的名作・待望のリマスター「オブリビオン・リマスター」

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現実世界と同じように人々が生活してる仮想空間で、好きな職業について、好きなプレイスタイルで遊んでみたい…オンラインでなく完全なAIで生活した仮想空間でそれを体験してみたい。パッケージとして存在しているゲームはこの命題と常に向き合ってきた気がします。そんな贅沢な要望に可能な限り応えてくれたタイトルの決定版だと個人的に思っているのが本作「オブリビオン」です。20年前に発売されたこのタイトルが待望のリマスターとして生まれ変わりました。

オープンフィールドの進化とその概念を変えたオブリビオン

The Elder Scrollsシリーズ第4作。海外ではRPGというと今のRPGに源流になったと言われるテーブルトークRPG、ゲームマスターとプレイヤーで興じる一種のテーブルゲームが始祖と言われます。

それを元にしてできたRPGが元祖コンピュータRPGとも言われるウィザードリィで、キャラクターの種族や職業(クラス)をプレイヤーで定めてパーティー(仲間)を組み、ダンジョンを冒険していくというキャラクターメイキングに特徴がありました。

その後、プレイヤーからの視点(主観視点)でゲーム画面が構成されていたウィザードリィに対しキャラクターが表示された見降ろし型RPGのウルティマが生まれ…さらに国産にRPGが流入するとコマンド選択方式を主にしたものとアクションRPGなどに枝分かれしていき、それがファミコン時代の「ドラゴンクエスト」や「ゼルダの伝説」などに結実していくのでした。

時代は流れゲームの大容量化によって1画面上に切り替えのない広いマップ、オブジェクトやAIで行動する住人などを多く配置できる事が可能になり、それが今日的な「オープンフィールド」ゲームとして確率されていくことになります。

日本でも1つの街レベルを徹底的に作り込んだ「シェンムー」が登場したり、洋ゲーでは現在も記録的なヒットシリーズとなっている「グランドセフトオート」では車を盗んだり、誰にでも攻撃できてしまうラフなプレイが可能。簡素ながら3Dで表現されたマップが完全に世界を構築しており、特にシリーズ第3作以降からは毎回スケールアップしていくボリュームや作り込みから、記録的なメガヒットシリーズとなり、オープンフィールドというジャンルを確立させるに至りました。

本作TESシリーズは、基本アクションアドベンチャーであり現代劇であった「グランドセフトオート」の世界に対して、テーブルトークRPG時代からの伝統である中世を舞台にした西欧ファンタジーの世界を舞台にし、プレイヤーはチュートリアルであるオープニングを空けると世界の端まで自由に探索でき。あちこちに散らばる集落やダンジョンから気になったサブクエストに自由に首をつっこめる自由さが話題になりました。

特に既にオープンフィールドを認知させていたグランドセフトオート(以下、GTA)などのロックスター社のオープンフィールドに対し、顕著な違いとしてRPG特有のレベルの概念がある事。戦士ギルドや魔術師ギルドなど、複数の職業専属ギルドに所属できる事、広いマップの中に幾つかの王国が存在しておりゲーム内で犯罪行為を行うとその国境まで衛兵に追われるなどのよりリアルな箱庭設計(このへんはGTAシリーズでも同様ですが)、そして住人がAIによってきちんと生活している行動パターンを送っている事がとにかく画期的でした。

この時代まではグランドセフトオートなどはまだ住人は街中の一定のエリアを徘徊するなどモブの域を出ていなかったため、国産ゲームでもあるシェンムーの箱庭世界の作り込みと、洋ゲーのGTAシリーズのスケール感が融合したようにも感じられ、古くからある「自由度の高いゲーム」「箱庭世界の構築」を高いレベルで達成した驚くべきタイトルに感じられたものでした。

拡張し、大作化していったオープンフィールドゲームたち

その後にTESシリーズでは続編であるスカイリムが発売、キャラクターのモデリングはよりリアルに、ダンジョンマップに使い回しが多いなど本作特有の欠点は解消されるなどスケールアップはしていましたが、舞台が北方であるスカイリム地方なので大半が雪に覆われた閉塞感あるマップになってしまう点は残念だったのです。

その後は本作に並ぶ同じベセスダ社のこちらは近未来を舞台にしたオープンフィールドRPGである「フォールアウト」シリーズ、ロックスター社の「レッドデッドリデンプション」や前述の「グランドセフトオート」シリーズ、国産でも任天堂の「ゼルダの伝説シリーズ」など、その後もオープンフィールドはマップの広さや作り込みでどんどんスケールアップはしていきました。

しかし、本作オブリビオンの持つ「箱庭感」は後のオープンフィールドゲームでもなかなか並ぶものがなく、個人的に続編の「スカイリム」と並んで長らく「壁」となっていたようなタイトルになっていました。そして、スカイリムは先の景観の問題もあり、緑と地形に富んだ本作オブリビオンをスカイリム張りのグラフィックやシステムで遊びたいという要望はこれまでも多く出ていました。

本当は新作であるTES6がより広いフィールドで新しいシステムで展開してくれることが望ましいのですが、完璧主義を求めるベセスダ社の開発が難航を極め、未だに完成のコールも聞こえてきません。

黎明期のスケール感が、今日でも遊びやすさに繋がる

そんな中、突如発表されたのがこのオブリビオンのリメイクでした。よりスケールアップされオープンフィールドが溢れた現在、オブリビオンがどこまでより魅力的に感じられるかの懸念はありましたが、オープンフィールドそのものの驚きはやはり後発のタイトルに慣れすぎた事もありかつてのようには感じられなかったのは確かです。

しかし、歩き回るには十分なシロディールの世界。豊富なサブクエストとあちこちにある自由に徘徊できるダンジョン。最近の広範に広がったオープンフィールドのタイトルと比較してもほどほどの収まりの良さがあり、小刻みに完結するサブシナリオがとにかく取り掛かりやすいのが魅力です。

最近のオープンフィールドゲームはサブシナリオですらそれなりの時間がかかるものが多いため。。ダンジョンを小刻みにしたゼルダの伝説ブレスオブザワイルドと並んで、極めて取り掛かりやすく遊びやすいオープンフィールドゲームとして、色褪せない魅力を感じた次第です。

システム周りもスカイリムを参考に改良されていますし、何より緑豊かなフィールドで豊富なサブシナリオを体験できるのが非常に魅力的。一周廻って今の時代にこそ遊びやすく感じる、改めて魅力的なタイトルだと感じました。

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