短時間で決着がつく熱中度の高いゲームは、タイパ・コスパが騒がれる現在に置いては特にニーズが高まっていると言えるでしょう。そんな現在の事情にもピッタリ符合する名作ゲームを紹介します。
ナムコと言う老舗のゲームメーカーの功績
ナムコと言うとかつて80年代のアーケードゲームでは数多くの歴史的名作を産み出したメーカー。世界的な人気作となりピクセルアート史上に残る傑作デザインでも知られるドットイートゲー「パックマン」やスペースインベーダーに動きを加えて麻薬的な楽しさを織り込んだ「ギャラガ」カートゲーに鬼ごっこの要素を加味した「ラリーX」縦スクロースシューティングの草分け「ゼビウス」などなど…
一方家庭用機のファミコンの時代もそのネームバリューは健在でしたが、他者に投げた作品をライセンスとしてナムコ名義で販売することも多くアーケードの名作の移植も多かったのですが、どこか租税乱造のイメージがあったのも確かです。
そして、それが次世代機のプレイステーションやセガサターンの時代になるとライバル社であるセガが出したアイデアをそのまま拝借する事が多かったなどの批判も多いのですが(例えば本作リッジレーサーシリーズもポリゴンのレースゲームではセガラリーが先達になります)シリーズを重なて行く事で、より大衆向けにこなれていく流れを産み出せていました。
何より高い技術力とリリースペースの早さが強みで、間違いなく次世代機の時代を引っ張った代表的なメーカーの1つでした。レースゲームではリッジレーサー、格闘ゲームで鉄拳とソウルキャリバー、シューティングではエースコンバット、RPGではテイルズとほぼ毎年のようにこれらの新作をリリースしていた時代がり、その開発スパンは凄まじいものがあったのではないか…と
ベーシックな魅力を持つレースゲームとして
一方で際立った作家性や個性にはやや乏しく、誰もが遊べるベーシックなタイトルを無難に作っているメーカーというイメージもあり、特にリッジレーサーシリーズは新しいハード(PS1、PS2、PSPなど)が発売されると初期に真っ先の投入され、レースゲームというビジュアルや中身の分かりやすさからも一種の技術のデモンストレーションのタイトルと見られる向きもあったと思います。
特にライバルと言われたソニー発のグランツーリスモは車のリアルな挙動までを再現し、実際に多くの車を試乗体験したいおじさん世代に熱狂的に迎えられました。チューニングや公道レースの魅力を突き詰めた首都高バトルシリーズや、カートレースとして駆け引きの面白さを追求したマリオカート、そしていまやオープンワールドのような無限に広いマップを走れるレースゲームは無数に出てきており、かつてのリッジレーサーの誇ったリアルさを追求したレースゲームとしては現在はForza Motorsportシリーズなどが存在感を増していて…
ハードの性能に合わせて多様なレースゲームが出る中で、微妙に埋もれてしまった感があるのが現在のリッジレーサーシリーズかもしれません。しかし、もともと駆け引きを主体とした対戦の面白さを追求したマリオカートはまた別物として、短時間で決着がつくシンプルさとゲームならではの挙動の面白さがレースゲームの強みだった…と言えるとも思います。
ほどほどのリアルさとゲームならではの爽快感、複雑すぎず短時間で快感が得られるという点でリッジレーサーの持つ独自の魅力は確かにあったのですね。特にBGMが素晴らしくリゾート感覚に溢れたシリーズの魅力はそのままにスタイリッシュに統一されたインターフェースやストリーモードを備えたリッジレーサーtype4などは未だに熱心なユーザーに支持されてもいます。
シリーズの集大成として
そんな4作目を踏まえた5頃までの歴代のシリーズのコーナーを全て収録し(当時最新作だった7前後のシリーズは未収録)車種や音楽も多彩に収録、ドリフトをするとゲージが溜まり一定ポイント溜まると解放が可能になり短時間で超加速が出来る「ニトロシステム」を採用。後のシリーズになると色々と問題点が指摘されたシステムのようですが、本作ではこのシステムが程よい兼ね合いでバランスが保たれていて、適度な駆け引きと爽快感を生んでいます。
何よりPSP当時最高峰と言われたグラフィックが、フォトリアルでもないかといってポリゴンの角が目立つでもない「程よさ」に収まっていて、一つのアートとして納得できる美しさになっている点も見事です。フォトリアルとは差別化した美麗さがあると思うのです。
チューニングなど細かいカスタマイズの面白さがないのは残念ですが、一定の条件を満たすと新しい車種が手に入るやり込み要素は健在。とにかく短時間でシンプルな熱中度を引き出せる手軽さが魅力なのです。勢いがあった時代のコナミの息吹も感じられる傑作の1つでしょう。
現在PS4、PS5専用ですがDLして遊ぶことも可能です。ただ本作の強みは携帯して遊べるような手堅さにあるのでスマホDL版やswichなどの携帯ハードでのリリースが望まれます。新作が出るのが一番いいのですが、かつてのシリーズの集大成として本作の価値はなかなか揺るがないでしょう。


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