ドキュメンタリー風ホラーの原点にして頂点?「ブレアウィッチ・プロジェクト」

MOVIE1(映画・ドラマ)

ここ最近、日本ではホラーが再ブームになっているようで、特に背筋著作の一連のモキュメンタリ―ホラー「近畿地方のある場所について」などのヒットは記憶に新しいのですが…モキュメンタリ―…つまり架空の事件をあたかも本当にあった事件かのように

ジャーナリストや刑事、あるいはその関係者が事件について細かく調査し、現地に足を踏み入れるドキュメンタリー形式のホラーは本作によって一気にメジャーになった感があります。そして、原点にして既に十分なギミックや内容を兼ね備えていたのです。

モキュメンタリ―の説得力を持たせるギミックの数々

本作が公開された当時はリアル感を出すためハンディカムによる撮影を模した画面構成が酔う…話に盛り上がりどころがない…などヒット作ゆえに批判も多かったものです。それは低予算を逆手に取った手法がまだ馴染まれていなかった事や、決して分かりやすい見せ場のある作品でなかった事も1因でしょう。内容はあくまで本来はB級ホラーとされるような低予算な作りに収まっている作品です。

そもそも架空のドキュメンタリー(モキュメンタリ―)ホラー自体が比較的好みが別れるジャンルでもあるのですが…しかし刺さる人には確実に刺さる、作り物ではない面白さに寄ったジャンルだと思っています。

まだネット黎明期の頃に公開された本作。イギリスのとある森に伝わる魔女伝説を大学のサークル3人組が、近隣の住人の聞き込みから始めてつつ実際に森に入っていく過程を生生しく撮っています。また、面白いものが事件に絡めたWEBサイトを実際に作ってしまった事。

作り物ではあるのですが、そこに積極的に乗ったファンダムによって本作は大きな話題を集める事になりました。いまでこそこういったモキュメンタリ―と鑑賞者やファンをつないで盛り上げていく手法は見慣れたものになりましたが00年代初頭にそこに目を付けたのが新しいのです。

作りものではない生生しさと身近に感じられる恐怖

本作では、とにかく主人公たちが森に入っていく前の段階からリアリティある作りが徹底されています。複数の人たちのインタビューから正体は分かりませんが、あの森には何か恐ろしいものがあると繰り返し語られる事で不安感を煽っていきます。

恐怖を体現する手法も直接的なものは少なく、何か得体のしれないものに徐々に追い詰められていく。常に何かに監視されているような怖さ。それ以上に何かに取り付かれたように徐々に破綻していく主人公たちの人間関係が得体のしれない恐怖を増しています。

昔のゲームで人のいない無人の島を探索し、脱出する「MYST」という伝説的なアドベンチャーゲームがありました。人のいない島なのに、どこかに人の気配を常に感じる。そしてかつて何かしら人や文明のあった痕跡を辿り謎を解いていくのですが、全編通じて独独の不気味さがありました。本作に感じる気味の悪さも、それに通じている要素があると言えるでしょう。

この手法、実は予算がなくても一定の舞台装置と演者がいれば出来てしまうものなので、その後の低予算の作品で類似の作品が日本においても無数に作られるようになりました。

しかし、やはりパイオニアとなった作品だけあり、その舞台の魅力や恐怖を煽る演出は後の作品でもなかなか上手くはまっている作品は数少なく、それら一つ一つの要素が魅力的且つ説得力を持っていたからこそ、後にフォロワーが溢れる成功作になったと言えます。

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