学生の頃、歴史や世界史が好きだったか嫌いだったかは別にして多くの人は歴史の概要そのものを出来れば知りたいというニーズは強く持っている者と思います。しかし、固有名詞の羅列に複雑な家系氏、年表の羅列と言う世界史を苦手とさせる諸要素が敷居を高くしているのもまた事実。そんな中、できるだけそうした固有名詞に頼らず、しかもコンパクトな上下巻で歴史を学べる定番の名著を紹介したいと思います。
人類5000年の歴史を点と線で理解する
世界の歴史をできるだけ固有名詞や年号の羅列に頼らずに上下2巻でコンパクトに収めた名著だと思っています。各エリアとエリア同士の影響や関係を丁寧にまとめ、多少の作者の思想を交えながらも西洋史観に偏らない、様々な国が影響しあっての歴史のダイナミズムを感じる事ができます。
出来るだけ固有名詞を使わずに人類の歴史を辿った作品として、比較的近年の世界的なベストセラー「サピエンス全史」を連想する部分もあります。ただしあちらが、あくまでサピエンスという「種」に拘った内容になっているのに対して、本作が主に注力しているのは「文明」そのものであるように感じます。
単なる教養なみならず、アカデミックな知的好奇心も満たしてくれ、繰り返し読む事で、世界史の流れをより俯瞰的に理解を深めていく事もできます。
圧倒的な「教養」としての歴史もダイナミズム
やや西洋史観に傾いているという批判も見られますが、本書を軸にして、様々な歴史本に広げていく事で、独自の歴史観を養成してくれる、そのきっかけの1冊として十分機能してくれる内容になっていると思います。
全2作なコンパクトさとはいえ、その分各ページに文字はびっしり並び、コンパクトでありながら十分な手応えも感じさせてくれます。


コメント