国産横スクロールアクションの集大成にして元祖メトロイドヴァニアともなった「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」

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かつてスーパーマリオブラザーズのヒットによって花形となった「横スクロールアクション」というジャンル。

3Dが全盛になった現在でも一定のタイトルがリリースされ続ける定番タイトルですが、かつてたくさんのタイトルが発売されていた中で、それらのエッセンスをひとまとめにした集大成のようなタイトルがありました。それはまた現在において一つの人気ジャンルを形作ることにもなったのですそんな伝説的タイトルをレビューします。


コナミ伝統のゴシックアクションホラー


スーパーマリオブラザーズの登場によって一躍家庭用ゲームの売れ線のジャンルとなった横スクロールアクション。その翌年にコナミからディスクシステム専用として発売され大きな話題を読んだのが本作の源流「悪魔城ドラキュラ」でした。


当時のファミコンゲームの多くがディフォルメされた可愛いキャラクターものが多かった中で伝統的なホラー映画のクリーチャーたち、ミイラ男やフランケンを倒しラスボスであるドラキュラを倒すというコンセプトはどこか大人びた風を感じさせ作り込まれたBGMは異国情緒を感じさせるものがありました。


当時のコナミはキャラクターを前面に押し出した作品を作る一方で映画版権モノやオリジナルでもどこか洋画風なタイトルを作るものも特徴的で(MSXでメタルギアが登場したのもこの頃)「悪魔城ドラキュラ」はそんな流れを感じさせる一本に仕上がっていたのでした。


また、その当時は各有名メーカーが必ず中世ヨーロッパ風のアクションゲームを作っておりカプコンは魔界村、コナミはスプラッターハウスなどが有名で、家庭用でそれをいち早く展開してシリーズだったと言えるかもしれません。

現在、この悪魔城シリーズは同じディスクシステム出身のゼルダと並ぶように、海外での人気が特に凄まじく、出荷数が限られたいたレア感もありプレミア化タイトルの定番にもなっています。そんな中、本作は出荷数が多かったため比較的安価で手に入ります。


シリーズの新しい流れを作り出した


ファミコン、スーパーファミコンと続き家庭用の次世代機であるプレイステーション、セガサターンの時代になると伝統的な横スクロールアクションのリリースは控えめになり、リリースが途絶えてしまったシリーズも多くなりました。


そんな過渡期の時代に発売されたのが本作「月下の夜想曲」もともとはシリーズの番外編的位置づけを意識されていたようで、シリーズ伝統のムチによるアクションやステージクリア型といった要素から離れたゲーム性となっていました。


ファミコン時代のアクションを思い返すと2作目「呪いの封印」ではレベル性を採用。悪魔城伝説(シリーズ3作目)では仲間になるキャラクターが登場したり、ステージが分岐したり…

その他の著名な作品に目を向けてもくにおくんシリーズ(ダウンタウン熱血物語、くにおくんの時代劇だよ全員集合)では協力プレイやマップを自由に行き来出来たり、アイテムで強化したりとより具体的なRPG要素と融合していき。

ロックマンシリーズではステージが自由に選べることや倒したボスの武器を手に入れ切り替えることができるシステム。メトロイドは始めからステージの隅々を周ることが出来て、アイテムの収集によって道を切り開いていくゲーム性でした。


結果的に「月下の夜想曲」は似たスタイルのゲームでは、くにおくんシリーズなどに見られるレベルアップや買い物などのRPG的な要素、メトロイドシリーズに見られるアイテムの収集によるマップの探索要素に重きを置き、マップの行き来は区切りなく自由に出来るようになっています。

結果「ゼルダの伝説」にも寄ったゲーム性になった気がします。さらには手に入れた武器を使い分けて強力なボスを撃破する流れをロックマンにも通じ…そして、一頃たくさん作られたゴシックホラー風の異国情緒とリアリズム溢れる世界観…まさに横スクロールアクションの伝統的な要素をぎゅっと詰め込んだ作りになっているのです。


現在、横視点でのこのスタイルは「メトロイド」+「キャッスルバニア(悪魔城シリーズの英代)」の組み合わせで「メトロイドヴァニア」と呼ばれていますが、その走りになった記念碑的な作品でもあります。


この作品が好評だったため、以後GBAやDSなど主に携帯機でリリースされた続編は同じスタイルを取っていく事になります。しかし、やはりPSという据え置きのハードでリリースされた事やゲームバランス、知名度など考えても未だに本作が決定版と言える位置にある気がします。


次世代機によってパワーアップした要素の数々


本作の魅力はまず導入部にある気がします。前作「悪魔城ドラキュラX 血の輪舞」のリヒターベルモンドとドラキュラの対決をオープニングに置く、派手な導入部。耽美的な匂いのするベルモンドのドラキュラ城への潜入と流れるような流れが見事で

この間にも次世代機ならではの音声に寄るイベントシーン、派手なアクションの演出、おどろおどろしいモンスター達、CD媒体になることでより迫力を増したドラキュラサウンドなどが展開されプレイヤーをぐっとゲームの世界に寄せる事に成功しています。

主人公はアルカードというドラキュラと人間のハーフのキャラクターになり、それまでのシリーズ伝統のムチアクションを離れ様々な武器やアイテムを使いこなしていくスタイルになりました。

また探索型に切り替えた事でゲーム中割と早い段階からステージを自由に進むことが出来ます。一応推奨されるルートのようなものは示されていますが、それを無視して進む事も可能。敵の攻撃はかなりの厳しさを持ちますが、アクションが得意な方ならアイテムを駆使したりアクションを使いながら切り抜け、どうしても進めない場合はレベル上げによって少しづつ進めていく事もできます。


欠点は一度ある程度レベルがあがってしまうと一気にゲームバランスが簡単になってしまう事でしょうか…序盤きつめでそこを乗り越えると、割と全体が楽に傾いてしまうバランスだった気がします。


しかし、本作の魅力はそれ以上に城の隅々をどこまで探索するかにもあり。MAPでまだ埋まっていない場所を、アイテムを使いながらどう辿りつくのか。その試行錯誤もまた楽しみの1つ。各ステージは時計塔や書庫などシリーズの伝統を踏まえたゴシック調。ボスキャラも懐かしい面々が揃っています。中盤にはあっと驚かせる展開もあり。


ただ悪魔城と言うと難しさも伴いながら、コンティニューを繰り返し徐々に先へ進めていくゲーム性。本作ではクリア後に前作キャラのリヒターを使用できるモードが付いています。基本的にLV1固定で、アイテムクラッシュをメインに進めていく仕様。


ステージクリア型ではありませんが、本先でシリーズ伝統のムチアクションを駆使するスタイルとっていたら?というIFに応えてくれるおまけ要素です。どうしても難易度は跳ね上がりますが…


いま尚、横スクロールアクションを代表する定番タイトル


改めて、本作の魅力を振り返るとキャラやステージにシリーズの様々な要素が積み重ねられている集大成的な要素。気合の入った印象的なBGMの数々に円熟期にたっした芸術的なドット表現の数々。ユーザーフレンドリーになったLV性や探索要素にあると言えるでしょう。


個人的にステージクリア型の方がシンプルに楽しさを感じられたりもするのですが、いま尚進化を続ける3Dアクションとは別の既に円熟期に達した横スクロールアクションの未だ色褪せぬ決定版的なタイトルの1つではないかと思っています。

現在遊ぶには…

レトロゲームになりますので、現在遊ぶ方法を紹介します。PS4でステージクリア型の前作「悪魔城ドラキュラX」と共に配信されています。アンドロイドやi-OS版での配信もされています。switchでは他のシリーズのコレクションは発売・配信されていますが、本作のリリースはまだされていません。

steamでのリリースもなし。PS1のタイトルなので、PS1-3のハードではソフト盤を起動して遊ぶことも可能です。配信関係がもう少し充実すれば手軽に遊べるタイトルになるのですが…

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