コナミを代表する人気シリーズ
レトロゲームブームが続く昨今
ファミコン時代にたくさんリリースされた横スクロールアクションに挑戦している方も多いのではないでしょうか??
しかし、その多くはファミコンの前さらに前の時代
アーケードゲームのコインを少しでも稼がせたい(インカムというやつですね)メーカー側と、それ受けてのユーザー側のニーズによる高難易度の応酬の流れがあり、また家庭用ゲームは黎明期で、多くのメーカーが手さぐりで参入していた事も合わさって、全体的に手強い難易度のものが多く気合を入れて始めたものの、投げ出してしまっている方も多いのでは…
それでも当時のあのドット絵で再現された緻密な世界観に魅力的なBGM、そして手軽に世界に引き込んでくれる横スクロールアクションの魅力はとても強く、ほどほどの難易度でグラフィックや音楽もバランスの取れた作品があれば…そんなタイトルを欲している方も多いはず。
ゲームセンターCXの有野課長と同じく、決してアクションゲームが上手くない自分が、レトロゲームのアクションをあれこれ遊んだ中、難易度的なものも含めて、これは決定版だと自信を持ってお薦めできるタイトルの1つがこのスーパーファミコン版悪魔城ドラキュラです。
まずはシリーズの歴史からざっと振り返ってみたいと思います。
ファミコン時代からつづくコナミの名作横スクロールアクション
ファミコン時代はファンシーなキャラクターを主体にしたデフォルメ調の横スクロールアクションがたくさんリリースされました。
本作「悪魔城」シリーズの発売元のメーカーである、コナミも「がんばれゴエモン」「ツインビー」などそれに連なる人気シリーズをたくさんリリースしていました。
一方でアーケードで人気を博したグラディウス始め、ファミコンオリジナルソフトとしては「グーニーズ」や「キングコング」などの映画の版権モノ、そしてMSXなどの別の家庭用ハードでは後に大ブレイクする「メタルギアソリッド」シリーズの前身となる「メタルギア」に「魂斗羅」シリーズなど、どこか洋画を思わせる大人向けで硬派なタイトルもリリースしていたのもコナミでした。
そして、ファミコン中期に書き換え可能なサービスとして登場したディスクシステム用ソフトとして、注目を集めたのがこの「悪魔城ドラキュラ」の第1作なのでした。
海外の古典ホラーを出典とするモンスター達を相手にバンパイアハンターの家系に生まれた鞭使いの主人公を操りながらステージをクリアしていく、硬派なアクションゲームとして誕生しました。
まだまだ本格的なホラーゲームは勿論、リアル等身のキャラクターが主体のアクションが家庭用ゲームの中では珍しい時代、本作は洋画を思わせる本格派の世界観キャラの等身も当時のファミコンのアクションゲームの中では大きく取られていたのが特徴で、その洋画テイストを売りにもしていました。
偶然ですが、任天堂も同時期にディスクシステムオリジナルタイトルとしてやや高い年齢層を狙った本格志向のSF探索型アクション「メトロイド」をリリース。
後にこの「メトロイド」の探索要素にRPGの成長要素を付け加、サウンドやグラフィックも大きく強化されたPS1時代リリースの「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」以降、本シリーズは横スクロールアクションとして新たなスタイルを築き、特に海外では「メトロイド」+「キャッスルヴァニア(本作での海外での名称)」を表すメトロイドヴァニアというジャンルの源流とも呼ばれるシリーズとなっていきました。
家庭用とともにシリーズを重ねた歴史
第1作となったディスクシステム版の「悪魔城ドラキュラ」以降、RPG要素を付け加えたディスクシステム版「ドラキュラ2」、特定のステージで仲間が増えたりステージに分岐がある事も特徴となり拡張されたROMに迫力の内臓音源を加えた初のファミコンカセット版としてリリースされた第3弾の「悪魔城伝説」を経て、アーケード版やゲームボーイで発売された番外編的な「ドラキュラ伝説」などを挟み
スーパーファミコン時代に満を持して登場したのが、このスーパーファミコン版「悪魔城ドラキュラ」なのでした。
もともとコナミはグラディウスシリーズなどはアーケードで誕生し大きな人気を博した後に当時のコンシューマー(ファミコンなど)に移植する際は、その性能差からステージをアレンジしたりカットしたりと容量を抑える努力をしたうえでのリリースが定番となっており、アーケード版に馴染んだファンからは賛否別れる事も多かったのですが
悪魔城シリーズはその凝った世界観などから、アーケード発であってもおかしくなさそうなタイトルですがオリジナルのアーケードとしては意外にも80年代に1作リリースされたのみで(こちらは逆にアーケード版が、やや賛否が別れる作りとなり)純然たる「家庭用ゲーム」としてシリーズを重ねてきたシリーズとも言えます。
先祖返りしたかのような作風
2作目の「ドラキュラ2」ではRPG要素、3作目の「悪魔城伝説」では仲間システムやステージ分岐があったのに対して本作はあくまでも王道のステージクリア型。
1作目と同じタイトル名ですが、主人公もまた1作目と同じシモン・ベルモントであるため一見するとリメイク作品とも思われますが、分岐のないステージクリア型と言う共通点以外は、ステージの内容なども別物と言えるほど大幅に変更されています。
それにしても、当時はこのような中世を舞台にした、あるいはゴシックホラー調の横スクロールアクション全盛の時代でもありました。
カプコンの「魔界村」ナムコの「スプラッターハウス」などなど。そんな中にあっても本シリーズ独自の凝ったホラー調の演出や、ドット絵で描かれる精細なゴシック調の世界観、リアルなキャラクターやモンスターの挙動などはスーパーファミコンになってよりパワーアップしました。
ファミコン時代は容量の関係からキャラクターの挙動がやや硬く、それが良くも悪くも難易度の高さに繋がっていた面もありましたが本作ではムチが8方向に振れるようになり、ジャンプ制御なども従来のものよりやや取りやすくなっています。
また鞭をひっかけてジャンプする新機能やスーパーファミコンの拡大・縮小機能を大幅にいかした演出。終盤になると1作目のバンパイアキラー、2作目のBLOOD TEARS、3作目のbeginningが本作用にアレンジして流され(これらの初期作のアレンジ曲が流れる演出は後のシリーズでも定番になっていきますが…)最終決戦では本作最初のステージでかかる「シモン・ベルモントのテーマ」がここ一番で流されます。この演出は、プレイヤーのテンションを大いに上げると同時にシリーズの1つの集大成を思わせる流れになっていました。
序盤には控えめな難易度も終盤になるとかなり手強いものになっていきますが、プレイヤーが上達とともに着実に先へ進めるようになっていく作りは見事。2周目からは高難易度モードも解禁されます。現在リリースされている配信版などではクイックセーブも出来る為よりプレイヤーに優しい仕様になっています。
その後のシリーズの中でも貴重な王道且つ、シンプルな作りが魅力
この後の主なステージクリア型のドラキュラシリーズとしてPCエンジンリリースの「血の輪舞」があります。ステージ分岐や仲間キャラなど「悪魔城伝説」のシステムを踏まえた上でアニメムービーなども加えられ大幅にパワーアップしましたが、高めに取られた難易度と、アニメ調のデザインや演出はやや賛否を呼びましたが、こちらも横スクロール悪魔城の1つの集大成的作品となっています。
X6800用にリメイクされた「悪魔城ドラキュラ」は長らくシリーズの決定版の1つ伝説的なタイトルとして語り継がれています。一方で、強烈な難易度を売りにしている面もあり、ややプレイヤーを選ぶ面があります。PS移植版として「悪魔城年代記」と記されて移植版もリリースされています。
その後はPSで出た「月下の夜想曲」の人気を受け、2Dの横スクロールの探索型の作品がGBAやDSといった任天堂携帯機でリリースがつづきPS2では3Dのアクションとしてリリースが続いたため、横視点のステージクリア型のドラキュラの流れはリメイクや配信などを除いて途絶えてしまっています。
そのため個人的にステージクリア型の悪魔城ドラキュラとして際立った特徴こそないものの幅広い層に安心して薦められる王道の作りと丁寧な演出、且つ間口の広い難易度から、未だにシリーズの中で決定版的な立ち位置にある作品になっています。
その昔、アーケードやファミコンのドットから強い異国情緒を感じたタイトルも数多かったのですが
そんなゴシックホラー調の演出が、怖さと同時に強烈なノスタルジーも感じさせる王道横スクロールアクションの決定版なタイトルです。
現在遊ぶには…
本作は現在遊ぶなら、steamやNINTENDO SWITCHで配信されている、悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクションで遊ぶのがイチオシです。ファミコン時代の3タイトルにゲームボーイでリリースされた「ドラキュラ伝説」の2作。メガドライブでリリースされたプレミア的1作である「バンパイアキラー」に賛否あれど、大きな話題を読んだアーケード版「悪魔城ドラキュラ」とセットになったオトクなパッケージ版。
アクションゲーム初心者の方にはその中でもグラフィック・音楽共に安定した本作スーパーファミコン版の「悪魔城ドラキュラ」に加え、初心者用のイージーモードが搭載された初代の「悪魔城ドラキュラ」もお薦めしたいです。
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