エレクトロニカなサウンドとフォーキーなサウンド…現代バンドサウンドの中でも特に耳障りのいいこの2つのジャンルを歌モノとして職人芸的に作り込んだ名盤を紹介します。
いま尚精力的に活動する…アート型エレクトロバンド
サカナクションはおよそ10年以上前から、その創作姿勢やサウンド諸々に惚れ込んでいるバンドです。系譜としてはspitzやアジカンのようないわゆる「文系ロック」な匂いのするバンドなのですが、ちょうどこのサカナクションがメジャーで世に出てきた頃にちょっとした電子音をベースにしたバンドの潮流がありサカナクションもその流れに連なるバンドでした。
メロディー主体の歌詞を当てはめつつ、バックで流れるサウンドはクラブサウンドにも通じるようなクオリティ。北海道から出てきたバンドという事もあり、独特の情緒と新世代のバンドとしてのクリエイター気質が融合したようなバンドでした。
メジャーデビュー後も毎年のようにアルバムを出していたのが2010年代後半ごろよりリリースが途絶え、その後ベスト盤リリースを契機に再び再始動…現在、ボーカル山口一郎氏の不調によって再度休眠期に入っていますが次の活動への予告もしっかりなされています。
本作「サカナクション」はそんなデビュー以来精力的に活動していたサカナクションがほぼ毎年のよう
に発売していた時期の最期のアルバム、次作は5年ほどのブランクが空くことになります。そのアルバムが自分たちのバンドの名前を冠したアルバムになっているのが凄く象徴的なのですが…
彼らの1つの到達点
個人的に本作は現段階での彼らのアルバムとしての最高傑作。これが1つの壁になってしばらくリリースも途絶えたのではないか?と思わせる完成度の高さ。個人的に邦楽市場でも指折りに好きなアルバムで、これ以前のアルバムからつづいてきた系統の楽曲や流れが、1つの極みに行きついた感があります。
それは季節感をモロに感じさせるエモーショナルさ、フォーキーな言葉のはめ込みの巧みさ。体温や鼓動に馴染むかのような絶妙なリズム感やアレンジなどその巧みさが全編に渡っています。
アルバムの構成もミディアムとアップテンポ、バラード調の楽曲の振り分けも絶妙だったりします。
個人的には3-6曲目あたりの流れが非常にいい流れ。タイアップ曲も多数でミュージック、AOI、夜の踊り子…などカラフルでダンサブルな曲がある一方で
ボイルやmellowなどこれまでのアルバムにも似たような流れはありましたが、裏サカナクション的な研ぎ澄まされたマニアックな曲もあり、そうした表面も曲も裏面な曲も、それまでの到達点を思わせるクオリティに仕上がっていました。
日本人の感性にピッタリはまったような優しいサウンドでもあり、聴く人を選ばない名盤だと思います。


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