実は課題だらけの現代日本…それもそのはずで、平成の折り返し頃からどうにかしてしまったかのようにあらゆる分野で成長が停滞してしまっています。それだけではなくAIの進歩や自然災害、人口減少など頭を悩ます課題がこの先多く立ちふさがっています。
日本を代表するデータアナリストでもある著者がデータから読み解ける日本の課題と、それに対する長期的な対処方法を著した力作です。5年ほど前の本ですが、射程を取って考えれば向こう10年まで読み解ける本になっています。日本の「これから」を考えた本は無数にありますが、その中でも特に感銘を受けた1作になります。
シン・予言の書?
「イシューから始めよ」なども話題の安宅和人氏による大ボリュームの1冊。とはいえ字が詰め詰めでもないので、見た目ほどは分厚い内容ではないかも??ですが、そこの込められたデータ量、見識はまさに大ボリュームと言っても過言ではありません。
まず、ここ30年の日本の停滞の何が原因なのか、どのあたりからそう衰退しているのかをデータから割り出しています。最近の日本の課題の1つに大学の学部に金がいかない、高齢者の問題に目が言って、GDPを押し上げる先端産業が育成されていない、という問題が取り差沙汰されていますが、まさに問題の根源がそこにある…という感じで、新しい産業の育成に関しては30年間一人負けのような構図が示されます。
未来は課題だらけでもあれば希望でもある
貧すれば鈍するで、その事があらゆる分野での停滞感の通じているのでしょう。自分はAIの関わる分野はまったく未知ではありますが、今後を考えた時にこのデータ×AIの人材がいかに必要になるかをデータを参照に語られています。中国、アメリカ、インドは元より欧州にも後塵を拝している、と。
また地方と都市部の格差の問題、そして、災害の問題にも触れています。今後の日本を見た場合に持続可能性と、その中の現実的な予算からいかに成長分野に予算を回すか、地方の維持が日本の再興には急務な事、長期的に見て持続可能なエリアを形作っていく事、など1つ1つは見慣れたトピックなのですが、そこにより具体的なデータと豊富な見解が示され解像度がより高くなります。
また歴史を踏まえて、日本はまだまだ挽回できる余地があると明るいエールも飛ばしています。日本は上昇の40年と停滞の40年を繰り返すとも言われ、戦後80年の2025年からはまさに節目であり、ここから新しい価値観が生まれ挽回できる可能性は十分あると思います。
しかし、コロナ禍の最中に本書が上梓されてからはや5年。本書でも示されていた課題は課題のまま、よりテクノロジーの進化だけ一人歩きしている現状があります。ここからあらゆる課題が本格的に差し迫るといわれる2040年までの15年、どれだけの事が進められるか。
中年のおじさんからこれからを担う若者まで、是非目を通して欲しい1冊なのです。


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