音楽業界がまだまだパッケージとしてのCDのセールスが盤石で、数多くのバンドやソロアーティスト、グループが多くデビューしていた2000年代。そんな中、独特の感性と丁寧なサウンドワークで上質なポップを提供していたのがGARNET CROWでした。特にこの最初のフルアルバムはインディーズ時代に書き留めた曲も収録しており。このグループのカラーが分かりやすく伝わる名盤に仕上がっていました。
雑多なジャンルひしめく00年代に登場したアコースティックな4人組バンド
ビーイングGIZAグループと言うとハードロックを基調としたJ-POP的なイメージがあったなか、やや退廃性すらかんじさせるネオアコ路線で出てきたグループGARNET CROW。デビューにして無数に出ていたシングルをまとめ上げたかのような1stアルバムです。
当時邦楽はデジタルサウンドを駆使したアップテンポのユニット、あるいは生音を駆使したシンプルなロックバンドやフォークデュオ、そして新しいジャンルとしてのR&BやHIO HOPなどのブラックミュージックが台頭している時世でした。
またニューウェーブから派生したヴィジュアル系バンドが前衛的なサウンドを模索していた時代。
そんな中高音・ハイテンポか、或いはアナログ・等身大か…の2極が進んでいた当時のシーンの中でシンセではなくピアノをフューチャーし、やや低音に寄った女性ボーカルを取ったGARNET CROWはその隙間をついたような存在感を放っていました。
普遍的且つ独自の魅力も放つ楽曲群
歌詞の世界観も抽象的ながら、どこか情念を漂わせる曲も多く。大手ビーインググループ系列の中にあっても一際DIYなインディーズ精神とシンガーソングライターのような手触りを感じさせる存在となっていたのでした。
冒頭からグッと世界に没入させる魅力がある「水のない晴れた海へ」退廃感と疾走感が混ざる「flying」このバンドのカラーがグッとでている「Rhythm」シンプルにまとめられた「夏の幻 」などなど
00年代にはピアノをフューチャーしたPOPなバンドからも著名なグループが幾つか誕生してきましたが、独特の退廃感や流麗なハモりを駆使するGARNET CROWは中でもインパクトが強かったのを覚えています。
グループは後々ワールドミュージックを取り入れたり、より上質なPOP路線に接近したりしていきましたが初見のインパクトもあり、とりわけアルバムトータルの完成度が高く感じられたのがこの1stフルアルバムでした。


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