90年代と言う時代を象徴するような無国籍でスタイリッシュな邦画「スワロウテイル」

MOVIE1(映画・ドラマ)

前衛的で尖った邦画も数多い中、特に本作は有名作ではありますが90年代という時代性を顕著に反映し、そのスケール感と作家性も際立った1作です。

90年代という時代の無国籍感

90年代は無国籍風映画に追い風が吹いている状況でもありました、民主化が進んだ韓国や台湾の映画が香港映画に続くように徐々に国内でも認知度を上げてきていた事もきっかけになっていたと思います。

映画以外のジャンルで見ても中国のクーロン城の中を当時としては破格なレベルのCGで描かれた空間を風水士として彷徨う「クーロンズゲート」や来るべきインターネット時代を踏まえたカルトなアニメ「serial experiments lain」ややはり情報系の進化も作品テーマに大いに絡む「攻殻機動隊」の劇場版公開も同時期でした。

本作はそんなアジア的な無国籍感や架空の日本を舞台にしたおとぎ話的設定(これも当時のトレンドの1つでした)を踏まえながら、90年代当時、気鋭の映像作家として名を上げていた岩井俊二がそのミュージックビデオからの出自である感性を踏まえながらスタイリッシュなアジア風異国映画に仕上げていた点が見事でした。

90年代に入ると既にグローバルな映画業界では既に名を上げていた日本や香港だけに留まらず、韓国や台湾の映画もまた確実に存在感を高めていた時代、本作が内包している移民やマフィアなどがひしめく雑多な感じはそんな90年代当時の「アジアの映画」のニュアンスを包括していたような側面もありました。

1つのソロシンガーの栄光と挫折の物語ともとれる

一方本作公開後、ほどなく国内邦楽市場では女性歌姫の時代が到来し、女性シンガーにスポットを当てたエンタメ作品はその後の2000年代に一斉に花開くようになります。そんな中、個性派シンガーソングライターとして世に出たばかりのCHARAを主役に据え、YEN TOWN BANDという劇中バンドを中心に据えた作風もまた

ミュージックビデオ出身の岩井俊二の個性ならではのものだったし、当時一大産業になっていたJ-POPの感性も作品のテイストに一役買っていたのです。色んな意味で「90年代のあの頃の空気」に満ちた作品、主演俳優陣も非常に豪華な作品なのです。

【中古】 スワロウテイル/岩井俊二(脚本、監督),三上博史,CHARA,伊藤歩,江口洋介,渡部篤郎,山口智子,小林武史(音楽)

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