カードゲームとボードゲームの絶妙な融合。カルドセプト・エキスパンション+


ボードゲームとカードゲームを融合。戦略ゲームの金字塔の1つ


ボードゲームとカードゲームを融合させた名作ゲームと言われるカルドセプト桃太郎電鉄、いただきストリート、モノポリー、マジックザギャザング…戦略ゲームの中でもボードゲームやカードゲームと言われるジャンルの魅力的な分野を1つのゲームとしてごった煮にし、絶妙なバランスでまとめたゲームが本作です。


カードによる駆け引きの要素と収集の楽しさもあり、末永く遊べるゲームに仕上がっています。戦略を重視すれば奥深さがありますが、ゲームの進行はすんなり入っていけるため進行は非常にシ
ンプル。まさに当ブログのコンセプトにピッタリなタイトルとも言えます。


セガサターン、プレイステーション、ドリームキャスト、プレイステーション2、XBOX360、NINTENDODS、NINTENDO3DSと様々なハードを跨いで展開されました。


タイトルとしては初代、2、サーガ、リボルトと4作になりますが、1作目と2作目は何度か機種を跨いでリメイクや改良版が発売されています。本作はシリーズ1作目の2度目のバージョンアップ版。1作目としてのバージョンアップ版はこの後グラフィックをリファインして携帯機であるNINTENDO DSにも移植されていますが元々のグラフィックをベースにバージョンアップしたものとしてはこれが最終系と言えるかもしれません。


シリーズでは新作の部類に入るサーガ、リボルトが従来のファンから賛否別れる作りになっているのに対し、ナンバリングである1作目、2作目は高い評価を得ており、特にPS2版のセカンドとセカンドをベースにしオンライン対戦も手軽に出来た3DS版は最高傑作と言われることも多いのです。


シリーズ中でも一番遊べるハードが多い、本作の魅力


今回上げたエキスパンション+も完成度は十分なのですが、セカンドにあった共闘の要素がない。一部カードの性能が異なるなどの違いがあります。しかしPS1で発売されたタイトルのため、とにかく遊べるハードが多い事が強みのタイトルだと思っています。

PS1、PS2、PS3、ゲームアーカイブスで配信もされた事からPSP、PS VITAでもPSN経由でダウンロード可能(PSPの場合は現在、PS3を通さないとDL出来ない状況ではあります)手持ちにPS1のソフトを持っていればPCに取り込んで遊ぶ、という方法も可能。

中古の流通も良く、ソフトの価格も控えめ。とにかくシリーズ中でも一番遊べるハードを選ばない状況にあるのが本作「エキスパンション+」です。そしてグラフィック的にはドット絵の描写が細かく、カードの作り込みもしっかりしており、シリーズ中でも特に未だ古びない魅力を放っている作品でもあります。


さて、肝心のゲームの中身なのですが、基本的に舞台はRPGなどの中世ファンタジー風の世界。主人公はカードを操るセプターとして各地を転戦しライバルたちを倒していくというのが大まかな筋です。神話を思わせるかなり壮大な世界設定が付与されていますが、そこは今回は割愛(笑)


基本的なゲームの進行


各マップでは一定の広さを誇っていますが、例えば桃太郎電鉄のような広いマップではないです。基本的にはマス目で区切られた一定のフィールドを周回。各マップには中間地点である砦と、ゴールとなる城があり、マップに4つほどある砦を通過して城にたどり着くと周回ボーナスが得られる。魔力がクリア基準に達した状態で城のマップを通過すれば勝利となります。


マップにはパネルに色がついており、それにはそれぞれ「火」「水」「地」「風」などの属性があてがわれています。プレイヤーはマップをサイコロを振って、出た目の分だけ移動しながら、手持ちのカードからモンスターを配置することが出来ます。

モンスターは属性を無視して配置する事ができますが、属性と合致モンスターを配置すれば地形効果が働いて有利に、さらに隣り合った場所にモンスターを配置すれば支援効果を得られるなどのメリットがあり、土地は魔力を投じてレベルアップする事が可能です。

この土地を巡る駆け引きが「モノポリー」や「いただきストリート」に通じる点。

ボードゲームとトレーディングカードの楽しさの融合


クリーチャーを配置した土地に他のプレイヤーが止まると、レベルに応じた魔力を徴収することが出来ます、回避する場合はこちらも魔力を消費して呼び出した手持ちのクリーチャーと戦わせる事になりす。止まったプレイヤー側(侵略側)がクリーチャーを倒せばその土地のレベル毎、土地を乗っ取ることが出来るため大変有利になります。


また、この際に戦闘を有利に働かせるのがアイテムのカード。攻撃力や防御力を増やしたり、特定の属性の敵に大ダメージを与えたり、逆に防いだり…など。それを駆使して戦いを有利に進ませることが出来ます。

相手モンスターの単純な強弱は戦闘前の手札で判別できますが、それぞれのモンスターが持っている特殊能力、さらに地形の支援効果、手持ちのアイテムカードを駆使することで戦況は大きく変わる事になり、このへんの駆け引きが非常に面白いのです。この土地の概念は「いただきストリート」「モノポリー」の要素と言えます。


また戦闘だけでなく、ダイスの目を二つ分移動できる、砦全てを周った事にさせる、他プレイヤーを足止めさせる、魔力を奪うなど、マップに絡んだスペルカードの駆け引きも魅力。このあたりの駆け引きは「桃太郎電鉄」「ドカポン」などベーシックなボードゲームの魅力とも言えるもの。

そして、これらクリーチャー、アイテム、スペルに該当するカードを50枚汲んだブックを作成する、ブック編集の楽しさも作の魅力。カードはゲーム進行やフリーバトルに勝つ事などでどんどん増えていき、どのカードを組み合わせるかの戦略の幅が広がっていく事になります。

各カードはトレーディングカードを思わせる美麗な書き込みが魅力で、このあたりが「マジックザギャザリング」などトレーディングカードの魅力と融合したと言われる所以です。

長く遊ぶコツ

最近は円安による物価の高騰や節約志向から「コスパのいい趣味」としてゲームを選ぶ人も多いと思います。ゲームは時間の無駄(これはどんな趣味にも言える事ですが…)という向きもありますが本作は非常に頭を使ういわば麻雀的な側面も強いゲーム。なのでロジカルな思考を養う、戦略眼を身に着ける、純粋なボケ防止などの副次効果も高いタイトルです(笑)

コスパの面で見ても、本作は膨大な数のカードも全てゲーム内のデータに収められており追加課金なども発生しません。後の3DSなどではオンラインで対戦相手を募る事も可能ですが、本編でCPUを相手にするだけでも充分長く遊べます。熟練したユーザーでも相手のカードとの相性や止まったマス目で思いがけない逆転を許してしまうバランスがある為です。そして負けても必ず新しいカードを入手できる為にモチベも保ちやすいのです。それが故に長く遊べ、また思考型で反射神経は求めないためユーザーの裾野も広いタイプと言えるのではないでしょうか。現代ゲーム文化が生んだ1つの結晶のようなタイトルだと思います。

その反面、有効なカードの組み合わせはあるものの明確な攻略が立てづらいゲームでもあります。また1プレイの時間がどうしても長くかかってしまうのが最大の欠点。このあたりで序盤で辞めてしまうユーザーもいるでしょう。そこでお薦めなのが序盤の小さいマップやフリーバトルモードでの小規模なマップで延々戦いながらカードを集めていく遊び方です。本作はストーリー自体はおまけのようなもので、基本はCPU含めた対人戦がメイン。そのため序盤の小さなマップでゲームのコツを掴みながら、勝敗よりもまずは徐々に手持ちのカードを増やしていくのをまずは目標にするとモチベーションを保ちやすいし、ゲームの楽しさも掴みやすいのではと思います。


物語を彩る各要素も魅力


本作の魅力の1つがやはり世界観を支えるビジュアルや音楽。RPGと同じような魅力に溢れています。中井覚と斉藤智晴によって描き起こされたクリーチャーやスペルカードは収集やコレクション要素を満たしてくれます。中世風の世界を彩るのが「イース」「アクトレイザー」などゲーム音楽市場に残る名曲を数多く担当した古代祐三。後のセカンドではロマンシングサガなどでお馴染みの伊藤賢治が参加しています。

現在遊ぶには…

現在本シリーズを遊ぶには。まず1作目と2作目のリメイクがそれぞれDSと3DSで発売されています。シリーズ最新作にして現在最終作ともなっているカルドセプトリボルトも3DSで発売。そのため3DSを持っていれば1作目、2作目、リボルトと主だったタイトルは全て遊べてしまいます。

またPSゲームアーカイブスで1作目が配信。オリジナルのセカンドを遊ぶならPS2版が比較的手に入りやすく、今回紹介したカルドセプトエキスパンションもPS1でリリースされているので、実機で遊ぶ場合はPS2があれば1作目と2作目も遊べます。今回取り上げたのは1作目ですが、2作目も本作を上回る完成。ぜひ手に取って欲しいタイトルです。

シリーズのアナウンスが途絶えて久しいですが、いつかswitchあたりで新作が出る事を期待しています…。

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