ハリウッドの大作映画のように危機また危機の連続を切り抜ける、爽快なアクションゲームがやってみたい。ゲーム史上でも屈指の度重なるリマスターを重ねるほど、その需要に応えた歴史的名作が待望のリメイクとして正当にパワーアップして生まれ変わりました、それが本作「バイオハザード4:RE」です。
TPS風に生まれ変わったシリーズのターニングポイント
バイオハザードは洋館の中を限られた武器、アイテムを駆使して進んでいくサバイバルホラーの先駆けとなり、海外ゲームのアローンインザダーク、同じカプコン制作のスウィートホームの発展型とも言われていました。
キャラクターは3Dで背景は2Dで描かれた作品でしたが、制限を逆手に取ってゲーム性に反映させていたのが実に上手く、また3Dのキャラクターに豊富なアクションが出来ない所を動きが鈍いゾンビに置き換え洋館と言う閉鎖空間にする事で障害物をいかに排除して通路を確保するかと言うゲーム性が生ま
れました。
PS時代には同じ操作方法で数多くのフォロワーが誕生しました。
探索アクション寄りからガンシューティング寄りにゲーム性が変化
そんなシリーズの流れをがらっと変えたのが本作でした。今まではキャラクターの全身が写っていたものが上半身だけとなり、マップも全編フル3Dで描写。
操作方法はシリーズ伝統のラジコン操作(左右キーで方向展開して上下で奥や手前に進む)から直感的な操作方法に変化。この表現の変化に伴ったものか、本作ではガンシューティング要素が高くなり舞台も前半では特にヨーロッパの寒村を思わせる広い空間が舞台となりました。
ゾンビもこれまでのクリーチャー風のモノから、人間に寄生するプラーガというタイプの変化。これによってほぼ人間を相手にしている感覚が強くなり、よりガンシューティング色が強まったとも言えます(いっぽうでグロさもあがってしまいましたが…)
かと思えばこれまでになかったほどの巨大な敵キャラも登場。敵組織であるアンブレラがOPでいきなり壊滅の経緯が語られるなど、とにかくシリーズの一新とアクション要素が強まりが強調されたタイトルでした。
練り込まれたゲーム性
本作は特に海外では取り分け高い評価を経て、その後のFPS(一人称視点シューティング)への影響も強かったと言われています。銃を当てた時にサイレンサーで軌道が見えること、敵のどの部位を狙ったかでダメージが変化する事など撃つ快感を追求した点がまず1つ。
ゲーム中当たらしい武器が増えるタイミングで必ずそれを生かした危機的なシチュエーションや新しい敵が登場してくる事。新しい武器を手に入れて、それを効果的に使い分けて以後はそれらの応用で進んでいくという応用のレベルデザインがうまいのです。
例えば敵を広範囲で吹っ飛ばせるショットガンが手に入れば、そのあたりから多数の敵に取り囲まれるシチュエーションが定期的に挿入され、スコープで狙い撃つライフルが手に入れば、遠距離から攻撃してくる敵を排除するシチュエーションが挿入されます。
ガンシューティングなので直感的に分かりやすいというのも強み。このレベルデザインの巧みさはアイテムや謎解きの応用で先に進んでいく、ゼルダの伝説シリーズも思わせます。今作では敵を倒すと資金が手に入り、それによってゲーム中の所々にいる武器屋に立ち寄り武器を少しづつカスタマイズしていく楽しさもあります。
1つの武器でも威力が異なる方向に変化していくため、自分好みに進化させていく事が可能。アイテムを収納できるケースに限りがあり(ゲーム進行に伴って拡張が可能)何を持ち運ぶのか悩むというシリーズの伝統はしっかり押さえられています。
謎解きも所々にありますが、そこはだいぶ簡略化されてしまった印象で、やはりアクションを楽しんで欲しいという割り切りが本作の特徴だと思っています。
また本作は1つ1つのステージがエリアで区切られているエリア制を取っていますが、どのエリアも一定の広さがあり、様々な進行ルートを編み出していく自由度もあります。迷わない程度には限定されたマップの中で、どう進んでいくかの自由度があるという点で理想的な作りとなっています。
ハリウッドA級パニックアクション風
そして、本作は何度もこれまでリマスターが繰り返されていますが、その人気の1つがハリウッドの大作風の作りになっている点もあるのかもしれません。主人公のレオンは2が初登場ですが、新米警官だったその頃の面影がなくなり軽口をたたく凄腕のエージェントでイケメンという分かりやすさ。
ヒロインのアシュリーも単独で動かす場面がありますが、かなりの美形モデルとして描かれています。舞台は最初はヨーロッパの田舎を思わせる寒村ですが、後半にいくと広大な古城の内部へと移り、最終的にはシリーズ伝統の研究室的な施設へ。その場面転換も巧みなのです。
そして、2023年にはリマスターではなく、初の本格リメイクとなるバイオハザードRE:4も発売されました。今の時代を踏まえたキャラクターデザインへの変更(一部賛否あり9ルイスというキャラの深堀りやアシュリーを操作する場面の操作方法周りの改善。
そして、一部演出の改正や賛否合ったQTEシーンの改変、など本編も雰囲気を損なわない程度に改善されましたが、最大の長所は銃を構えたり撃ちながらもちゃんと移動が出来るようになったことでしょう。
後のFPSなどに多大な影響を及ぼしながら、唯一時代を感じさせると言われていた止まりながらしか撃てない要素の改善、これにより最早文句なしの傑作に仕上がったとも言えます。そしてナイフの大幅強化でシリーズの原点である初代張りにナイフプレイが生える作品になってことも嬉しい点です。
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