王道のビンテージのようなロックサウンドに、これぞロックバンドという佇まいを持った強烈な個性を放つ伝説的な3ピースバンドの、非常に優れたベスト盤を紹介します。
グローバルでも稀有なロックバンド然とした佇まいの3人
イカ天からデビューしながら後期には国内で巻き起こった大型野外フェスを盛りたて、コアなロックファンから熱烈な支持を得つつ10年ほどのキャリアを駆け抜けた伝説的なバンドがブランキージェットシティでした。
当時は特にエレファントカシマシやミッシェルガンエレファントなどと並んで、コアなロックシーンを愛好するリスナーから熱烈に支持されるバンドとされる事が多かったのですが、そんなブランキーのキャリアの中でも粒よりの楽曲を集めてコンセプトにもブレがなく成立した非常に出来のいいベスト盤が本作です。
もともとロックバンドというと10代の反抗的な心理を象徴したカウンターカルチャーのシンボルのようにイメージされる事も多いかと思います(主にパンクのイメージが一人歩きした結果だとも思いますが)ブランキーはメンバーのイメージもどこかアウトロー的で、一見どこか近寄りがたいイメージがあるのも確かです。
しかし、そのロックバンドとしての佇まいが本当にバランスが良く、世界中のあらゆるバンドを見回してもギターボーカル・ベース・ドラムでここまでメンバーの個性やヴィジュアルが綺麗に成立したバンドは珍しいと思っています。
孤高の美学とピュアネスの同居
ブランキーは特にフロントマン浅井健一の独自の感性が素晴らしく…詩心のある不良という個性、それゆえのマイノリティへの葛藤や悲しさ、そして根底にあるピュアな感性に痛いほど刺さる歌詞…本作では「悪い人たち」「水色」などがそれの代表格です。
また楽曲から浮かび上がる異国情緒、特に古き良きアメリカを思わせる情景描写が秀逸で…「PUNKEY BAD HIP」「絶望と言う名の地下鉄」など。同時に例えばティムバートン作品などにも通じる寓話性・メルヘン性も持ち味で、これは「ICE CANDY」「クリスマスと黒いブーツ」などに顕著です。
先に挙げたバンドとしての佇まい格好のよさというビジュアル面の魅力は勿論、その後メンバー各々のグループにも引き継がれるの詩心のある不良性、マイノリティに寄りそう心情、寓話性のバランスが絶妙で、それが現在でも並び立つ存在のない唯一無二の存在感に繋がっている気がします。


コメント