キャラクター漫画とギャグとストーリー漫画の幸福な一致「銀魂」

BOOK1(漫画・小説)

魅力的なキャラクターが次々登場し、ギャグの切れも長期連載にも関わらず衰えず。合間合間でストーリー漫画としての凄みも見せてくれる…そんな贅沢な名作漫画のレビューです。これもまた超有名タイトルですが…

ギャクの濃さをキャラクターものにスライドさせながら絶妙に保つ

ジャンプの漫画は多くが2巻前後までその世界観や作者が描きたい世界をある程度表に出しつつ3巻目を過ぎたあたりからバトル展開に突入、読者ランキングによってキャラクターと強さや駆け引きを重視した展開に傾いていく傾向があると思っています。

一方でジャンプのライバルであった週刊少年サンデー、特に高橋留美子が描いた作品はラブコメを軸にしつつ魅力的なキャラクターが登場するとサブキャラクターとしてストックされ、劇中の展開によってたまにスポット参戦するような構図が取られていました。

また劇中で1話完結の短編や中編が描かれつつ、たまに大きな敵が登場し1巻ほどを又にかけた大きなストーリーが展開される事も特徴だったと思います。ドラえもんの通常回と大長編の使い分けと言ってもいいかもしれません。

ジャンプにおけるギャグマンガとしては異例のロングランとなる

週間ペースで人気が変動し、バトルやスポーツの駆け引きが重きを置いた展開になりがちなジャンプに置いて基本ギャグをベースにしたストーリーで異例の人気を誇った銀魂は、このジャンプ的なバトル漫画の文法にサンデー的なキャラクター群像劇とストーリー漫画の手法を絶妙に交えたのがうまかったと思います。

豊富なキャラクター達は短編でその個性を深堀りしつつ長編では王道のカッコいい活躍もしっかり見せてくれ、この繰り返しが実に心地いいマンネリを産み出していたと思います。豊富なキャラクターに支えられ、ギャグの切れもずっと一定の質を保ち続けていたと思います。

仮にギャグ一辺倒で進んだ場合、5巻程度で限界にいきつきキャラクターを押し出しても20巻程度でマンネリ化になったりしがちだとも思うのですが、銀魂はキャラクターを増やし、長編も挟みながら実に70巻近い長編としてロングランで走り抜く事に成功したのです。

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