ソリッドで鋭いサウンドにプログレ的な変拍子、バンド編成でありながら音響系やエモ、ポストロック的な感性も持ち合わせている…そんなあらゆる要素が高次元で絡み合っている国産ロックの名盤を求めている方に必聴の1枚をレビューします。
歴代日本のバンドサウンドを跨いだ独自性
想像のセキュリティという曲をYOU TUBEか何かでみて強烈なインパクトを受け、最初に聴いた凛として時雨のアルバムが本作でした。その後もその前の時代を遡って聞き、フロントマンのTKのソロやアニメサイコパスの主題歌「abnormalize」などの有名曲も生み出しましたが…
個人的にインディーズにいたこのアルバムに到るまでの3枚ほどの時期が、一番馴染みやすく思い入れも強いのです。
特に完成度という点で言うと初期を総括したようなものが本作「insupiraton is dead」でしょう。男女混合で高音を謡い、極端に緩急をつけたような楽曲を展開。スーパーカーあたりからお馴染みになった男女混成バンドで両社が担う曲やパートが別れている点…
さらにポストロックを思わせるインスト曲から、エモーショナルな感情をガンガン刺激する楽曲展開…特にナンバーガールを思わせる全パートが同期したかのような緩急を付けた曲展開。LUNA SEAなどのヴィジュアル系などニューウェーブの系譜に連なるバンドを彷彿とさせるどこか神経症的なボーカルスタイルと手数の多いドラム、鋭いカッティングのソリッドなギター。
かなりハードで展開も早い曲が多く、男女で絡み就くように高音ボーカルが加速していく流れなどで好みも分かれそうな点も多いのですが、個人的にバンド編成に求めるものがすべて詰め込まれているような印象を受けました。
当時のインディーズの音楽シーンが目指していたもの、形にしたかったものが1つ結実したようなスタイルや世界観だったのではないかな…と。
00年代のある種のバンドの方向性を総括?
特にヴィジュアル系的なニューウェーブ感と下北ギターロック的なオルタナ・エモの感性が見事に両立していた点が理想的。なんとなく90年代や00年代の音楽シーンを俯瞰して聴いていた方なら共感してくれる人がいるのではないかと思いますが(笑)それくらい強烈なインパクトを残したのが、特に初期の頃の凛として時雨でした。
攻撃的な「nakano kill you」「DISCO FLIGHT」などの前半や345ボーカルも引き立てつつ音響的な処理も際立つミディアム調の「am3:45」「赤い誘惑」再び激しい展開をする「i not crazy am you are」…
最期はポストロック的なアプローチも垣間見える彼らお得意の名バラードの中でも際立つ完成度の「夕景の記憶」で締める…もうリリースから随分時間も経ちましたが、ここまでバラエティ豊かに衝動的なサウンドを奏でるバンドは未だに稀有でしょう。


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