もはやバルスが国民的イベントと化した感もあるスタジオジブリの名作「天空の城ラピュタ」その魅力を改めてレビューしてみようと思います。
スタジオジブリのスタートに当たり、それまでの宮崎アニメの総括作とも見れる
天空の城ラピュタは初期の宮崎アニメを総括したような作品であり、国産の冒険アニメの金字塔に当たる作品になると思っています。
もともと作画枚数が限られた伝統的な日本アニメの手法「リミテッドアニメ」に対して作画枚数を多くし、ディズニーの如くキャラクターが動く「アニメーションの面白さ」を追求していったのが宮崎アニメだと思っています。
初期の名作に数えられる冒険アニメシリーズ「未来少年コナン」興行成績を奮わなかったものの多大な評価を獲得した「ルパン三世カリオストロの城」そして、世のアニメ好きだけでなくキネマ旬報のような邦画の権威すら舌をまいた「風の谷のナウシカ」
空を飛ぶことにロマンを馳せ、冒険活劇や異世界ファンタジーを思うままに描いていた「日常性」や「テーマ重視」になる前の活劇主体だった時期の最期の宮崎アニメのような位置づけで、スタジブリのオリジナル長編アニメとしては最初の1作にもなる作品です。
興行成績こそ地味な作品でしたが(ジブリが興行収入でそれなりの成功を収めるのは「魔女の宅急便」から、大きくとびぬけるようになるのは「もののけ姫」からでした)日テレとのタッグで他のジブリ作品と同様に何度もテレビ放映されていった1990年以降に視聴率が常時20%越えをキープ。テレビのロードショー枠で国民的になっていったアニメでした。
日本のファンタジー観の形成に大きな影響を及ぼす
本作は「風の谷のナウシカ」と並んで日本のファンタジー観の方向性を確実に決定づけた作品でした。ファンタジー的な風景の中に腐海と呼ばれるエコな空間や異形の生物、デューン砂の惑星を彷彿とさせる王蟲や砂漠の情景、そこに飛空機械が闊歩するポストアポカリプス的顛末が冒頭で示唆れるナウシカの構図
過去に魔力で島を空に飛ばせるテクノロジーが示唆され、近代ヨーロッパ風のスチームパンク風の炭鉱街からスタートし、空を飛ぶ船が空を闊歩し、最終的に浮遊大陸的都市である「ラピュタ」に行きつく本作。
旧スクウェアのRPGからジャンプ作品、昨今にアニメに到るまで、欧米産の作品とは一味違った日本独自のファンタジー観はかなりの部分この「ラピュタ」と「ナウシカ」による所が大きかったものだと思います。
その世界観の原型は「未来少年コナン」で、劇場サイズでの冒険は「カリオストロの城」でも描かれていたものでしたが、ラピュタはゆうなればその2作品の融合で、未来少年コナンばりの冒険をカリオストロの城サイズの上映時間で手際よくまとめ、そこにはナウシカばりの雄大なファンタジー描写も提示されています。そして、カリオストロに負けないくらい見せ場の連続なのですよね。
他に類を見られないほどの娯楽性とテンポの良さ
炭鉱街から始まり、地下の炭鉱、軍の基地、飛行船、そしてラピュタへと、たったの2時間の枠の中で手際よく場面展開がされていきます。その内容もボーイミーツを縦軸にしながら脇を固める大人キャラのさりげない描写にも決して手を抜かず、エコロジー的テーマまで描きながら爽快なエンディングに行きつく。
考えられる限りの冒険活劇の魅力がこれでもか!と詰められている作品なのですね。他のスタジオジブリ作品も見せ場もテーマ性もがっつり盛り込んだ作品は多くありますが、ここまで娯楽作品としての魅力に徹し、見せ場も多い作品として両立させている作品もないのでは…と思っています。


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