たった2時間で語られる人生の悲哀と喜び…再生の物語「ショーシャンクの空に」

MOVIE1(映画・ドラマ)

洋画の名作は数多くあれど、未だに各種ランキングを取ると必ず高確率でトップに踊り出るヒューマン・ドラマの傑作があります。その普遍的な魅力とはなんなのか?「ショーシャンクの空に」をレビューします。

洋画史に残るヒューマンドラマの傑作


モダンホラーの旗手・スティーヴン・キングの原作の短編小説を基に劇場化された作品で、正直あちこちで名前が出されるため映画通ほどうんざりしてしまうタイトルかもしれません(笑)

スティーヴン・キングはもともとホラーの作家ながら、劇場化されて名のあるタイトルはスタンドバイミーやグリーンマイルなど、何故かヒューマンドラマの比率が高くなる傾向にあります。

本作も、まさにヒューマン・ドラマとしての見せ方が巧みなのだと思います。若い時に見ても感動するポイントは多いのですが、何十年も冤罪で檻の中にいる主人公の境遇は見ている我々側も年を経て再観賞するごとに、より真に迫ってくるものがある気がしています。

まず主人公を演じるティムロビンスが良いのです。物腰柔らかながらどこか人生を達観した表情。普通の家族の幸せを追いながら、思いをかけない展開で長い長い刑務所生活を送る事になる。

完全にアウェーの環境で長い事酷い目に遭いながらも、徐々に理解者を増やし立ち位置を決めていく主人公。これは例えば新しい環境や人生の節目に当たる時に誰でも多く当たる壁でそこを一際悲惨な境遇に描く事で、より共感を得やすく作られているのだと。

そして、達観しながら常にそこに諦めない意思を持った主人公の対比として調達屋のモーガン・フリーマン演じるレッドの役柄も良い。最早長い事模範囚として過ごし、調達屋として過ごす彼には外の世界こそが異世界になってしまっているのですね。

物語中盤で釈放された後、車の数の多さとその速さに驚き、目まぐるしい変化の大きさに息を呑み…そうした外の世界の変化に対応できず、堀の外に出てまもなく自ら命を絶つブルックスもその境遇に重ねられています。物語後半で同じ流れを辿ろうとしたレッドですが、そこで起こした発想が運命の分かれ道となっていきます。

万人が共感しうる閉塞と解放と救済のエピソード

最期の最期、紆余曲折あり塀の外で再開する2人ですがその2人の境遇もさることながら、多くの共感が得られるのはそこに到る刑務所の描写が人生の色々なものに置き換えられるからでしょう。

職場や家庭、人間関係もながくつづけばしがらみとなり、その人を縛り付ける場所にもなってしまう。刑務所の中に描かれるのは人生の縮図で、何が正しくて間違っているかを貫くほど、なかなか世間は甘くもない。

その中で誠実さと信念を貫いたアンディが最後の最後、長い人生をかけて逆転と解放を経る所に寓話に留まらないリアリティと解放感を感じるのかもしれません。

いつか死ぬことを忘れるな…は古代からつづく創作のモチーフとなり。終わりを思い描く事から始めよ、は有名な自己啓発書の1文ですが困難な状況にあっても、終わりを思い描くことから始め着実に積み上げていく解放感と救済を描いた映画とも言えます。

その積み重ねが並大抵のものでない分、最後の解放感がより刺さってきます。題材としては非常にベタなんですが、節目節目に見てしまいたくなる不思議な解放感のある映画です。

所々に粋な演出も


スティ―ヴン・キング原作だけに所々しゃれっけのある演出があるのも特徴。劇中の経過を表現するのに歴代有名女優のポスターをあてがっている所や、屋根の修理とビールの下りを1949年の珍事とあてがっている流れ(同年公開の映画にかけている?)など。

細かいエピソードも粋なのですね。長年模範囚として過ごしたレッドが何度反省を口にしても仮釈放が認められず、半ば自暴自棄に仮釈放になど何の意味もない…と伝えるとあっけなく仮釈放になった経緯など、まるで執着を諭すかのように挿入されるエピソード。

いつもと変わらない外作業が何気ない主人公アンディの気転で、誰の記憶にも残るような印象的な一日となった。先にも述べた1949年の春珍事なども、後々まで覚えているような人生の記憶に残る一日というのは何気ない所に転がっていると伝えているかのよう。

年齢が変わっても違う場面で共感を覚える場所が出てきて節目に見返すほど味が増す映画です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました