日本的な湿り気を帯びた怪談風のホラー演出と、複数の人物から恐怖の根源を辿っていく考察系のようなサスペンスタッチが絶妙な融合を果たしたJホラーを代表する作品「呪怨」をレビュー致します。
Jホラーブームの一翼を担った作品
リング・女優霊でそれまであった妖怪や怪談ブームを下地に平成の世に再び本格的なホラ映画ブームが巻き起こりました。それらは伝統的な女幽霊という日本人が潜在的に持つ恐怖の根源をビデオテープなどの現在的なアイテムと紐づけて現代に蘇らせるという側面もありました。
やがて携帯が一般化するとなお一層「リング的」な増殖する恐怖が徹底して描かれていく事になります。
本作もそんな時代の流れに沿ったホラー映画の1つなのですが、当時のJホラーブームの中で頭1つ突き抜けた成功を収めました。
本作が好みなのはホラーとは言えどどこかノスタルジックな平成中期ごろの空気感が全編に漂っている事、オムニバスホラーとして展開させやすいためザッピング的な視点が可能となり、視聴者が時系列や登場人物の関連を考察できるというミステリー的な一面も作風に組み込まれて言った事などでしょうか。
拡散する恐怖を別々の人物の視点で描く
ザッピングと言えば当時ゲーム業界でもチュンソフトなどのノベルゲームが一貫して描いてきたもので、そのゲーム的な感覚を劇映画としてフィードバックしていると同時に、複数の登場人物の視点からなる多重的な描き方は後のホラーゲームなどに逆に参照にされた要素も多いと言う(SIRENなど)ゲームと映画が相互に影響を与え合った側面もあったと思います。
この日常に浸透してくような恐怖描写もまた斬新だったりもします。当時はブレアウィッチプロジェクトのようなモキュメンタリ―ホラーも人気を博していました。本作は都市伝説が人々の間に広まっていく過程を実際の心霊現象を交えて可視化したような側面もあり全編がどこかドキュメンタリータッチにもなっています。
本当にあった呪いのビデオ(検証VTRで「お分かりいただけただろうか…」で有名なシリーズ)を当事者視点で、複数の話が展開していく形と言えばいいでしょうか。。
口コミから世界的な作品へと発展
正直ホラー映画として怖い映画だった、というより当時の日本の情景描写から感じられる奇妙なノスタルジー感、そのドキュメンタリータッチで描かれる絶妙な緊張感に浸りたくなってたまに見たくなってしまう映画…という感じですね。
この構成というかパッケージはなかなか魅力的で、大まかな流れが分かっていても続編となる作品でも毎回、この妙な緊張感とサスペンス性を孕むことに成功しています。
後に劇場版として2作が公開され、後にハリウッド版も作られ、まさにリングの後を追うように話題を呼んだ本作ですが、レンタルビデオ版が評判を呼び口コミで怖さが広まったまさに本編そのままの広がり方をしたような最初のビデオ版2作の出来が出色でしょう。

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