PS1時代は大手から中堅メーカーもこぞってゲーム市場に参入し、3Dという空間でどんなゲーム性が実現できるのか、各社様々な試みを試していました。そんな実験精神あふれる時代の中にも今尚輝く、シンプルで高いゲーム性と、ダークなテーマを内包した1作を紹介します。
3D空間で出来る事が模索された時代
PS1の時代は現代から見れば荒いローポリゴンなグラフィックの時代になりますが(最も最近インディーズ界隈ではこの時代のローポリゴンのテイストを再現する流れも活発になってきていますね)中堅メーカーでも参加しやすい初期3Dゲームの手軽さと、まだまだ家庭用ゲーム機の新規IPに活気あった時代。
各メーカーはこぞって、この新しい表現で様々なアイデアを提示していきました。サバイバルホラーの雛形になったバイオハザードや、同じく殺人鬼に襲われ「隠れる」アイデアを前作以上に明確に表現したクロックタワー2。
3D空間でのリアルタイム性に拘ったキングスフィールド、1つの町を3Dで起こし住民もリアルタイムで生活する中で謎解きをしていくミザーナフォールズ、限定された3Dフィールドでチャンバラをするブシドーブレード、敵もリアルタイムで徘徊するマップにステルス要素で挑んでいくメタルギアソリッドに天誅…
3Dに拘ったゲーム以外にも様々な表現を追求した作品が目白押しで下が、特に3D系のゲームはAAA級の大作から小粒なインディーズゲームまで含めて、現在の3Dゲームの源流と見なしてよい、数々の意欲作が国産のメーカーからたくさん発売されていたのです。
緊迫感のある内容と背徳感ある設定、独自のゲーム性が注目された刻命館
そんな中でも既にファミコンの時代からコンシューマーゲーム業界で独自の立ち位置を誇っていたテクモ(現コーエー・テクモ)が発売した一際インパクトのある意欲作が本作・影牢の前作に当たる「刻命館」でした。
プレイヤーはある国の王子だったのですが、様々な思惑から地位を追われ、復讐者となってとある館に因縁のある相手などさまざまな「人間」をおびき寄せ、罠にはめて滅ぼしていき、そのエネルギーを元により強力な武器やモンスターを産み出せるというもの。
バイオハザードと同時期の作品ながら、3D空間はそれなりにしっかり構築され、敵に追われながら罠にはめる緊張感やそれを高めるSEなどの臨場感も高く、何より倫理観に触れるその背徳的な内容から密かな支持を集めてスマッシュヒットしたタイトルです。
その刻命館からモンスターの配置や館の増改築の要素を外し、敵を罠にはめる要素をより強化させ分かりやすくしたのが本作「影牢」です。もっともプレイヤーが復讐に走る動機がはっきりしており、罠にはめる緊張感の高さから「刻命館」そのものの続編を望む声も未だにあったりします…
「トラップハウスゲーム」として、館の増改築とゲーム性の具体的な融合やモンスターを配置して、敵を誘導する要素を徹底すればより傑作に昇華する可能性が高いのですね。しかし、プレイヤー視点から見た「罠ゲー」としては影牢で着実に遊びやすくパワーアップしました。
刻命館から別たれて進化した独自性
その場で発動する罠と壁に仕掛けられる罠、頭上から落下する罠の3つをコントローラーのボタンにそれぞれ対応させる事で視認性と操作性が格段に上がり、またその3つを連続してヒットさせるとより高いポイントを得られるコンボゲーとしての側面が強調されました。
またそうしてポイントを溜めていくと新しい罠を開発でき、それに応じて敵キャラも1マップに複数現れるようになる、強さや動きも強力なものになっていきます。ある程度連続で遊ぶとダレる面もあるのですが、不思議とまた手に取ってしまう独自の魅力があります。
また後の零シリーズや、デッドオアアライブなどに通じる3Dゲームにおける「美少女キャラ」を表現するのに秀でたメーカーがテクモの売りでもありましたが、その発端となったのは初代デッドオアアライブと同時期のほんさく「影牢」が先駆けになっています。
まだローポリゴンで表示されている主人公ミレニアほ本編での表情は乏しく、選択肢以外のセリフもありませんが、どこか影をひきずったそのビジュアルにパッケージでも強調される後ろ姿などは美少女メーカーとしてのテクモの原点を思わせるものです。
続編も幾つか発売されましたが、余計な要素が入ってこない必要十分な内容から、いまだにシリーズでは最高傑作にあがる声が多い本作。
トラップアクションゲームは現在、インディーズ作品を始め、見降ろし視点のものからやダンジョントラップ系など様々なものが出ていますが、主人公が囮になって、特定の位置まで敵を誘導しコンボを駆使して倒していく本作独自の中毒性の高い要素や、緊迫感もまた今の時代でも十分通用するものです。
現在遊ぶには
かつてあったPSアーカイブスの配信なども途切れたため、PS1実機やPS1の互換機能のあるPS2やPS3、あるいはPS系の互換機で遊ぶのが望ましいです。ソフト自体は数が出回っているので比較的入手しやすいタイトル。今後のリメイクが望まれる1作です。

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