不死身の殺人鬼から一般人やごく普通の少女が逃げながら、その殺人鬼を最終的に消滅させる…スプラッターホラーでお馴染みの要素をゲームジャンルに見事に持ち込み、さらに落ち着いた不穏な空気で魅せるヨーロッパ風ホラーとして完成させた名作をレビューします。
様々なホラータイトルが勃興したSFC~PS2の時代
PS1の時代は本格的なホラーが復権した時代だとも言われています。「バイオハザード」のブレイクがまさにそれを象徴しているのですが、他にも海外で熱い支持を受けるコナミの「サイレントヒル」や今を時めくフロムソフトウェアも一人称視点のホラー「エコーナイト」などを展開していました。
PS2時代になると「零」や「SIREN」など和製3Dホラーの続々発売されていき、そこが一つのピークになった感はあります。そんな中SFC時代にノベルゲームの「学校であった怖い話」と並んで独自の横視点で殺人鬼に追われるゲーム性で話題になった「クロックタワー」は洋画テイストを打ち出したホラーゲームとして、また逃げるスタイルをベースにしたゲームデザインとして時代を先取りした作品となりました。
本作を手掛けたヒューマンはPS1時代に3人の女子高生が心霊スポットに赴く形で全10話オムニバスで描かれた「トワイライトシンドローム」シリーズも手がけています。3D音響を効果的に使用し、リアルなモーションキャプチャーや現実を思わせる女子高生たちの会話劇に細かいロケーションを反映させた背景。
なによりカオスで雑多で世紀末感も多分にあった90年代の社会情勢を踏まえつつ、主人公たちの心理面にまで踏み込んだシナリオなど、単なるホラーに収まらない魅力からスマッシュヒットを飛ばしました。そして、同じく90年代の洋画テイストや細かいディティールを含み大幅にパワーアップしたのが同時期にPS1で同社が出がけた「クロックタワー2」なのです。
時代を越えたB級ホラー的「逃げゲー」の傑作
前作にひきつづき、主人公のジェニファーをメインに据え、殺人鬼「シザーマン」の追跡を隠れたり時に撃退しながら交わしていきつつ、謎を解いて各ステージから脱出する事がメインのゲーム性になっています、最終的な目的は神出鬼没で不死身の存在とされる13日金曜日のフレディを思わせるような殺人鬼「シザーマン」を消滅させる事。
この敵から「隠れて逃げる」ゲームデザインは今日においてもオリジナリティが高く、インディーズゲーでも幾つかのフォロワーが確認できます。前作ではそれほど出現頻度の高くなかったシザーマンが本作では頻繁に表れ、「逃げゲー」としての側面が強調されています。
それらは、新しいゲームデザイン、洋画的演出との融合、3D空間という新しい表現でどんなゲーム性を追求できるのか…という当時のゲーム業界のトレンドを非常に忠実に沿って作られた優等生のような作品です。
クリックを主体とした横視点の移動シーンで進む本作は、綺麗なドットだった前作からやや時代を感じさせるローポリゴンの表現となり、むしろ時代を感じさせるものになってしまっています。しかし3D化する事で映画的なカメラアングルの演出は可能になり、視認性も高く遊びやすいデザインにはなっています。
そして本作独自のローポリ感は一周廻ってレトロな魅力を感じさせる一面もあります。いわゆるB級ホラーの演出との絶妙な相乗効果があるんですよね。洋館ホラーに留まっていた前作「クロックタワー」や同時期の「バイオハザード」と違い、本作は3章構成のシナリオと複数のキャラからなる群像劇な側面も合わせもち、複数のステージが舞台となっています。
続編含めても際立つ「ゴシックホラーテイスト」
夜の大学研究棟に郊外の洋館、図書館など雰囲気を盛り上げる舞台が様々、そして最終章となるバロウズ城ではスケールの大きな舞台と謎解きが展開されます。無数のキャラクターをいかに無事に生還させるかでエンディングが分岐するようになります。
この終盤になると、本作での主人公をつけ狙う殺人鬼「シザーマン」の出現頻度が上がり、謎解きの中断で少々ストレスを感じるような「慣れ」も発生してしまってはいます…しかし、いつ現れるか分からない殺人鬼の影におびえつつ、謎解きを進めていく独自の緊張感はかなりのもの。
本作のモデルとなったと言われるダリアルジェント監督の「フェノミナ」はじめヨーロッパホラー調のオカルト風な演出に加え、発売当時話題になっていたプロファイリングなどを駆使して殺人鬼「「シザーマン」の正体を検証するサイコホラーの要素も加わった本作のテイストは後の3D空間探索やサバイバル要素がメインになったホラーでは見られない独自性を今尚放ち続けています。
続編として番外編的な日本を舞台にした作品「ゴーストヘッド」正式な続編となるも賛否別れた「クロックタワー3」、タイトルこそ違えどその3の続編として不満点を改良され強烈な個性を放つ追跡者4人と美少女と古城という原点回帰で、隠れた名作ホラーとも言われる「デメント」。
また同シリーズの生みの親である河野一二三氏が開発した精神的続編「NightCry」など複数の続編的作品が存在します。ゲーム自体は「デメント」などはグラフィックも美しく1つの進化系になっていますが、やはりシザーマンのインパクトとB級ホラー的な味わいが強いこの2作目の印象は今日においても色褪せていません。
現在遊ぶには…
現在遊ぶには、1作目のリメイク「クロックタワーリマインド」はsteamや各種ハードで遊べます。しかし2作目である本作は、かつてあったPSアーカイブスの配信なども途切れたため、PS1実機やPS1の互換機能のあるPS2やPS3、あるいはPS系の互換機で遊ぶのが望ましいです。ソフト自体は数が出回っているので比較的入手しやすいタイトル。今後のリメイクが望まれる1作です。

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