00年代フェス世代を体現したスタイルとサウンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION/君繋ファイブエム」

MUSIC

いまとなっては懐かしさも感じる2000年代当時、国内はCDバブルだった90年代の余波もあり空前のロックフェスブームに沸いていました。

下北系、青春パンク、ネオビジュアル系などこの時期も様々な流れのバンドのブームもあったのですが、そんな雑多な2000年代のバンドシーンの中でそのスタイルやサウンド、活動形態などで当時のシーンのムードを体現していたようなバンドがASIAN KUNG-FU GENERATIONでした。

80年代のバンドブームの熱狂性や、巨大なセールスを挙げた90年代のミュージシャン群にと比較して、いま一つ語られる機会も少ない時代な気もしますが、いまのシーンにも直接繋がるそのスタイルとサウンドを体現したアルバムを軸にレビューします。


2000年代の潮流を代表するバンド


2000年代初頭にブレイクしたバンド、アジアンカンフージェネレーション。ミッシェルガンエレファントに影響されたバンド名、ナンバーガールをリスペクトしたサウンドで当時、何故か一大勢力となっていたボーカルが眼鏡であるバンド群の1つにも数えられたアジカン。


日本の若手のロックバンドがジャンプ系を始めとしたアニメのタイアップを掴んでいく走りとなったバンドでもあり当時沸き起こったフェスバブルの流れの中で自身が主催するNANO-MUGENを開き信仰のある多くのバンドとの対バンも経験しています。

当時はCDバブルでもあった90年代からCDのセールスは停滞しだしたものの、次々立ち上がるロックフェスブームの煽りも受けて、また前述したCDバブルの残り香もあり、まだ洋楽も国内では高いセールスも上げていた時代です。

そういった時代の流れも追い風になり、個性的なバンドが次々にデビューしていた時代でした。そんな中で割と素朴ないで立ちでロック青年然としたアジカンのスタイルは一見するとそこまで強烈な個性には乏しく感じたりもしたのですが…その卓越したポップセンスやソングライティング能力で、00年代を代表する1バンドにまで昇りつめたのでした。

個人的にその流れは90年代のスピッツなどを思い起こさせるものもありました。そして、その活動スタイルやサウンドも包括して2000年代当時の日本のロックバンドの流れをストレートに体現していた感じがするのですよね。下北系サウンド、メガネのボーカル、自己主催のフェスを開催するスタイル、青春と自意識が混在した歌詞などなど…


若さならではの初期衝動溢れる1枚


そして、今回取り上げた「君繋ファイブエム」は、そんな彼らがブレイク直後にリリースしたアルバムでまさにロックバンドが世に出てきた勢いをそのまま感じさせるような、いい意味で青い初期衝動の塊のようなアルバムになっています。


その後はよりバンドサウンド主体に寄ったアルバムやコンセプトに沿ったアルバムが増え、また近年はボーカルの後藤氏が世論を風刺する発言が多くそれを思わせる楽曲も出てきたりとスタイルも次第に変わってきていますが、バンドも歳月を重ねると初期衝動から変化していくのは自然な流れ。


ここで描かれたポップで疾走感溢れるメロディーや文学的で情景が思い浮かぶような歌詞
オルタナティブを思わるエモいボーカルに、ポストロックも感じさせるサウンドなど全てアジカンを貫く個性でありながら、ここに漂うどこか若く青臭い感じの焦燥感は今の彼らにはもうなかなか出せない類のものでしょう。しかしそれが絶妙な味わいになっているそんなアルバムです。


疾走感とポップさが同居した曲が並ぶ


「君という花」「アンダースタンド」は彼らの代表曲ともなるキャッチ―な一曲で「未来の破片」は初期衝動に溢れた疾走感ある1曲。「自閉探索」は前作の延長にあるダークさ
を。

「夏の日、残像」「無限グライダー」は情景描写がエモく「N.G.S」はナンバーガールリスペクトに溢れた1曲。本作と作風が近く、ぼっちざろっくのタイアップ曲も含めた次回作「ソルファ」もイチオシです。

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