国産オープンフィールドだけでなく現在ゲーム文化の一つの結実「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」

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日本発のもので決定的なオープンフィールドのゲームがなかなか出来ないと言われていた2010年代。任天堂が新ハードNINTENDO SWITCHのロンチタイトルとして発売、世界中の様々な賞を総なめにしシリーズ最高2000万本の売り上げも記録。

swicth躍進の原動力ともなったのが「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」です。続編的タイトルである「ティアーズオブザキングダム」が発売された今でもなお、その魅力は失われていません。国産オープンフィールドの一つの結実となった本作の魅力はなんだったのか??そこを掘り下げてみたいと思います。

海外から本格的に勃興していったオープンフィールドの波

ゼルダは海外に比べて国内の売り上げはこれまで日垣的に地味目だったのですが本作は国内でも大ヒット。FPSを独自に解釈したスプラトゥーンもそうですが、任天堂は本当に海外のトレンドのジャンルを研究しより普及しやすい形に改良し作り直すのがうまいです。

それまでのオープンフィールドと呼ばれるゲーム。マップに切り替えがなく等身大の世界の中で探索できるゲームは、そもそも任天堂がファミコン時代の「ゼルダの伝説」や「MOTHER」などで表現していたものでもありライバルメーカーのセガも箱庭の世界観を徹底的に作り込んだ「シェンムー」などで海外に先駆けて描かれていたものでした。

それ契機となったのがロックスター社が制作した「グランドセフトオート3」で切り替えのない広い箱庭のマップの中でメインストーリーを無視して暴走したり、住民に危害を加える事もできてしまう作りになっていました。勿論、犯罪行為を犯した場合は実際に警察に追われるペナルティも課されます。

またベセスダ社が制作した「フォールアウト」シリーズや「TES」シリーズはよりテキストや戦闘・ロールプレイ行為そのものが緻密に描かれる事になり現代ゲーム社会の1つの到達点を思わせる作品として成立していきました。

そんな中で海外のオープンフィールドがその存在感を増していき、マップもどんどん広く緻密になっていく中でそこまで広いマップを描く必要があるのか…という批判やそもそもマップの中身がスカスカであるという批判も見受けられるようになってきました。そもそもそれだけ広いマップのする事に必要性があるのか?という批判ですね。

個人的に得にベセスダのゲームなどは住人のAIも生活に根付いていてクエストの内容も突発的なものも含めて無数にあり、探索して無数のダンジョンや集落を見つけていく行為そのものに楽しさがある、いわば箱庭シュミレーターのような側面が魅力になっていたと思います。

しかし、ストーリーや戦闘に重きを置いたタイトルで、そもそもそこまで世界を広く描く必要があるのか…現実世界と同じ手間をかけた必要に意味があるのかという批判が当てはまってしまうタイトルが多いのもまた事実でもあると思います。

国産オープンフィールドの模範となった新しい試みの数々

本作ブレスオブザワイルドはゲーム先進国とみなされながらも、なかなかこのオープンフィールドの表現にキャッチアップ出来なかった日本がようやくそれに1つの回答を示した模範解答のようなタイトルに仕上がっていました。

ゲーム中メインシナリオとなるものは存在しますが、それらは固定である4つのダンジョンと4つの大きなエリアに散りばめられていて、それらを無視していきなりラスボスに突入する事も出来ます。

ゲーム中には現実と同じような物理シュミュレーターのようなものが流れていて、火は自然に燃え広がりオブジェクトは変化していくし、弓矢の軌道も一定のパターンには収まっていません。逆に街や施設やそれほど多くなく住人のAIもほぼ一定です。逆に広いマップのどこまでも自由に移動でき、どのエリアもその特色が顕著で未知なる変化に富んだ世界を体感する事ができます。

従来のゼルダのような1つの大掛かりなダンジョンが存在する形から、1つ2つのアイテムを応用した謎解きを用いて攻略する無数の祠が存在しており、その祠を見つけ出すことも楽しさの1つになっていました。

その祠をクリアする事でキャラクターのパラメーターを強化していく事が出来るようになっている作り。つまりストーリーの強制力を極力薄くして、細切れで遊べるような作りに変更。同時に世界そのものを楽しんでもらえるようなテーマパーク的作りに徹していました。

ただし世界観そのものは自然の息吹を感じられる静謐さに彩られたもの。生活シュミュレーターに即した探索ゲームの色合いが強い欧米発のオープンフィールドとは、構成こそ近いものがあれど根っこの部分はだいぶ違うものに仕上がっていたのでした。

そしてその違いの部分はゼルダの伝説が当初から表現していた「遊びのある箱庭」「手さぐりで切り開いていくマップ」のスタイルとは完全に一致。シリーズのアイデンティティとオープンフィールドの革新性を両立した見事なタイトルに仕上がっていました。

ゲーム中メインシナリオとなるものは存在しますが、それらは固定である4つのダンジョンに絡めて展開され、またストーリーを補完する過去の記憶はマップ上に散りばめられているウツシエによって補完される作りになっています。

オープンフィールドのゲームはシナリオ進行的にどうしても一本道のゲームに比べて弱くなる…と言われがちですが、大きな出来事は過去に起き、過去の災厄を払うというゲームのシナリオによって過去語りによりシナリオの深堀をする。本作はオープンフィールドとシナリオの両立でも新しい境地を切り開いた感があります。

ともかく、ゲームと言うエンタメの面白さがシンプルに詰められた本作。リリースからそれなりに時間も経ちましたが、その完成度とスケール感はいまだに1つの到達点を示しています。

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