日本人の国民性に馴染んだRPGというジャンル
日本にRPGが登場し定着してから随分、時間が経ちました。一時ユーザーが離れ衰退したかに見えたRPGというジャンルですが、最近は過去作のリマスターが相次ぎセールスも好調。
何年かに1度大きな話題作が出てユーザーを獲得していて、ドラクエやポケモンはいまだに発売すればダブルミリオンは軽く突破し…なんだかんだでRPGは日本人の琴線に触れ、家庭用ゲームでは1つの花形のジャンルであり続けている気がしています。
また一時は広いエリアを切り替えなしに冒険でき、ダンジョンやクエストが次々に解放されてい海外産のオープンフィールドゲームが話題になる事も多かったのですが、その波はRPGにも波及…「スカイリム」や「ウィッチャー3」などの海外産の名作を生みました。
しかし物量合戦の末にその波が一段落した感のある現在、システムやキャラクターの描写に力を入れた日本製RPGが海外からも再び注目を集め始めている気がします。
海外の様々なレビューをまとめる大手サイトの指標であるメタスコアでも上位には歴代の日本製のRPGも今や多くがランクしています。そんな中、まさにそんな海外産のオープンフィールドゲームの壮大さとキャラクターやシステムに重きを置いた日本製RPG。
どちらの目で見ても決定版とも言える総合的な完成度の高さを誇るRPGが本作「ゼノブレイド」です。
一本にして決定版と言えるほどスケールと完成度を誇った本作はしかし、モデリングなどいくつかの欠点を含んでいましたが、それを解消した決定版「Definitive Edition」が携帯機と言えるNintendo swicthで遊べるようになりました。
後に続編も発売されましたが、日本RPGの進化の行きついた1つの完成形と未だに語られる事のある本作です。
全体のバランスが良く、J-RPGの金字塔とも言えるレベル
本作の魅力はまさにその全体のバランスのまとまりの良さ。1つのとびぬけた個性で本作を超えるRPGは上げられますが全体をここまで高いレベルでまとめたものは、本作の直接の続編も含めてなかなか見当たらないのではと。
王道のファンタジー、中世と機械の融合、魅力的なキャラクターの個性、練り込まれた戦闘システムや育成の数々、幻想的で雄大なフィールド…海外産のRPGに比べて、コマンド型の戦闘や切り替えのあるRPGのスタイルをなかなか脱せないのが和製RPGの欠点でもあると言われていました。
本作はその2点に和製RPGらしさを失わないまま1つのスタイルを示したのが特に凄い。
制作はファイナルファンタジーやゼノギアスなどスクウェア産RPGの数々を手掛けその後独立したメンバーによって立ち上げられたモノリスソフト。
モノリスソフトは日本型オープンフィールドの決定版として世界中で注目を集めたあの
「ゼルダの伝説ブレスオブワイルド」にも携わった制作チームです。
J-RPGならではの伝統を抑えた数々のシステム
日本のRPGの特徴の1つにきめ細かいシステムとそれに連動したイベントや仲間の友好度などがあります。素材を集めて強化する、仲間との友好度を高めて特定のイベントが発生する、仲間との友好度が戦闘における連携技に反映される、スキルを育ててキャラクターをカスタマイズする、街で細かな依頼を受けて、それをこなすことで経験値を得る、など。
これらは全て本作のシステムに実装されています。パーティーの仲間とは戦闘を繰り返すことでキズナポイントが深まり、さらにゲーム中で手に入れたアイテムをメニュー画面で送る事でキズナは深まり、特定のスポットに特定の組み合わせのキャラと訪れる事でキズナイベントというものが発生するようになっています。
素材の合成はゲーム中で手に入れた鉱石などのアイテムを合成させる事でキャラクターのパラメーターに影響するジェムを産み出せる、ジェムクラフト機能を実装。これらを装備品に付与することでキャラクターの強化が可能となっています。
キャラクター固有の技(アーツ)などは経験値を割り振って強化させるオーソドックスなものですが、キャラクター同士の育成のルートによって戦闘に影響する個性が育っていき、この個性は育成されると発展しアイコン化
スキルリンクと言うキャラクター同士の連携技にこのアイコンを割り振ることで、連携を強化・優位に進める事ができます。続編ではシステムもさらに深まっていくのですが本作だけでもこれだけの育成のバリエーションがあり、全てを極めようとするとかなりの物量です。
そういう点でシリーズの入門としても最適で、複雑になりすぎないギリギリのレベル。この時点でも十分な完成度を誇っているのです。これらを有機的に管理できるきめ細かさがJ-RPGの強みとも言えるのかもしれません。しかし、その分覚えることはどうしても増えます。
これらのシステムが序盤に一度に解放される事で戸惑うのが、本作一番のハードルかもしれません。そこは、本編を進めるうちに戦闘を繰り返していく事で自然に覚えていける範囲にとどまっています。
オープンフィールドRPGにも引けをとらないフィールドのスケール
また海外産RPGに多いのがメインクエストを無視しても脇道にそれたサブクエストが次々に発生する事でまた広いフィールドを自由に探索するうちに集落やダンジョンが次々に出てきて、本編とは関係なくそれらを探索する事でミニイベントに発展していく事。
本作では基本的にメインストーリーに沿ってイベントは進み、脇道にそれたイベントは街でのお使いイベントに終始していますが、従来のRPGに置ける街を拠点にフィールドを探索しダンジョンに潜る…、という構図の1つ1つが大きなスケールで描かれているのが特徴です。
フィールドは幻想的で段差などの地形にも富み、隅々まで探索する事でユニークモンスターやレアアイテムが発生する。フィールドは本編とは無関係なエリアにも地名が割り当てられ、一度訪れた場所は海外産RPGの多くがそうしているようにファストトラベルといって一瞬で戻れる機能も実装されています。
またサブクエストも含めて常に表示されているマップ地図上に次の目的地を示すナビ機能が実装されています。これによって広いフィールドでも迷うことなく探索可能。もちろん自分の足で自由に歩きたければナビ機能をOFFにすることも出来ます。
特に画期的だった戦闘システム
Definitive Editionによって間口が広まったバランスと、キャラの表情の乏しさや荒さが指摘されていたモデリングの問題の解消されました。魅力的なキャラクターと王道のストーリーもそうなのですが。もう1つ画期的だったのが戦闘システムです。
本作は敵が常に表示され、接近したらそのまま画面の切り替えがなく戦闘に突入しますが、基本的にはコマンドで行動を選んで攻撃判定は動かしながら当てていく「半アクションRPG」的な作りになっています。
最近のRPGはアクション主体で作られるものも多いのですが、そうすると国内ではあまり評判が良くなく、逆に海外だとアクション戦闘志向が強いと言われます。最近のファイナルファンタジーシリーズなどもアクションとコマンドの狭間で迷いが見られる戦闘システムになっています。
本作はいわばその折衷のような作りで、リアルタイムの迫力とコマンドを選んで戦局を変えるスタイルのいいとこどりが出来ていると思います。ただあまりじっくり画面を選んでいる暇もないので感覚としてはアクション寄りに近いかもしれません。
本作では主人公シュルクにシナリオとも絡めた「未来視(少し先の未来が読める)」が反映され、敵が特殊攻撃を放った場合それを食らった見方のビジョンが一瞬表示されます。その状況をいかに突き崩すか…というなかなか画期的なシステムになっています。
RPGの矛盾点でよく指摘されるものに「序盤は雑魚的でシナリオが進むと敵のレベルもこちらに合わせて強くなるのはおかしい」…というのがありますが、本作も後半にいくほど敵が強くなる矛盾は完全には避けられていませんが、敵も表示される「シンボルエンカウント」の強みも生かし、序盤でもかなりの強敵がマップ上に徘徊しています(敵のレベルは戦闘中に常に表示される仕様
アクションRPG的な側面もある為、序盤からかなり格上の強敵に果敢に挑む事ができると同時にRPGの矛盾点もある程度解消させたこれもまた、画期的な要素でした。
以上の長々と語りましたが、シリーズがつづいた現在でも決定版とも言える完成度を誇る作品です。尚、任天堂がかなりの出資をしているためほぼ任天堂ハード専属となっている本シリーズ。switch系でしかプレイできませんが、逆に現役の任天堂ハードを持っているのであれば是非プレイしてもらいたい1作です。


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